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「正体不明の流行病に対する漠然とした恐怖心」

「正体不明の流行病に対する漠然とした恐怖心」

Posted August. 08, 2008 06:26,   

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今年は、ゾンビ映画の礎とされる「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」が公開されて40年が経った年だ。しばらくゾンビ映画が影をひそめていたが、21世紀に入って、西洋でまたブームになっている。今年上映された映画「REC/レック」をはじめ、「28日後...」、「28週後...」、「バイオハザード」など、多彩なゾンビ映画が登場した。心理学者、科学者たちに「薄気味悪い」ゾンビの話を聞いてきた。

●感情・知能を持つゾンビの登場

なぜ、こうもゾンビ映画が溢れているのか。映画評論家としても活躍中のチョン・グンヨン心理学博士(青少年政策研究院研究員)は、「急速に広がる正体不明の流行病に対する漠然とした恐怖心のため」と話す。

チョン博士は、「00年代に入って、SARS(重症急性呼吸器症候群)、炭疽病、鳥インフルエンザなど、原因もよくわからず対策もない新種の伝染病が多く発生した。人類が備えることもできず、ただやられるだけという不安感が、ゾンビ映画に表われている」と説明した。

ゾンビに襲われれば自分もゾンビになり、罪のない人々が無防備に逃げ回って死ぬ場面は、伝染病が広がる姿と似ている。ゾンビになる設定も過去と違って、T-ウィルス(バイオハザード)、凶暴化するウィルス(28日後)など、人類がまだ克服できないウィルス性の病原体を利用している。

最近のホラー映画は、ゾンビの原則だった「歩くだけで知能がない」という設定を超え、恐怖感を高めている。「28週後...」では走り回るゾンビが現われ、「バイオハザード3」では、感情と知能を持つゾンビが登場する。チョン博士は、「人間がゾンビに対して抱いている優越性が取り払われ、脳はさらに恐怖を感じるようになる」と分析した。

●人間ゾンビを作ったノーベル賞受賞者

映画のように、ウィルスがゾンビを作りだすことはあるのか。一度死んだ死者が再びよみがえるという設定に対しては、「話にならない」と口をそろえた。ポステック生命科学科の成永迵(ソン・ヨンチョル)教授は、「人類の歴史で、ウィルスがそのような病気を起こしたことがあるのか、よく見ればわかるだろう」と強調した。

ソウル大学生命科学部の金ピッネリ教授は、「死者が生き返るのは不可能だが、神経系を攻撃するウィルスが脳を破壊し、ゾンビのように無意識に行動することは、想像に値する」と慎重に語った。

脳手術や薬物を使って、「人間ゾンビ」を作りだすことはどうだろうか。実際に、人間を魂のないゾンビのようにして、ノーベル賞を受けたケースがある。

KAIST生命科学科の金デス教授は、「ポルトガルの神経外科医師アントニオ・モニスは、1940年代後半、2万人の患者に『前頭葉切除手術』を施し、1949年にノーベル賞を受賞した。誤ったノーベル賞の代表的な事例だ」と話した。この手術は、目の下にメスを入れて、脳の前頭葉の一部を破壊するものだが、うつ病、精神分裂症などの精神疾患を治療するために行なわれた。しかし、手術を受けた患者は、病状はよくなったが、自発性、創意性が弱まり、社交性もなくなって人格まで変わるなど、副作用がとても大きく、1960年代以降、行なわれなくなった。

金教授は、「高等な精神活動を担う脳の前頭葉が破壊されれば、自我が喪失され、ゾンビのような行動が現れるだろう」と話した。

●死者からゾンビが誕生する

人々はなぜ、死者がゾンビになりうると「自然に」受け入れるのか。梨花(イファ)女子大学エコ科学部のチョン・ジュンファン研究員は、「人類が死者に対して恐怖と畏怖の念という二重の感情を抱くように進化したためだ」と話した。

死者をそのままにすれば、寄生虫がわいて伝染病が広がり、周囲の人々が危険になる。人類は、死者に恐怖を抱き、生活の場所から遠くへ埋める葬儀の意識を進化させ、生存能力を高めた。しかし、自分の親、家族、親戚への愛情を断ち切って、死者を無生物と見ることは、長らくできなかった。

チョン研究員は、「死者に対して抱く混乱した感情が、死体から抜け出た魂という存在を生んだ。ゾンビも、死者への複合的な感情から生まれた『進化的副産物』と見ることができる」と話した。



dream@donga.com