「最初の時のように」
申相勲(シン・サンフン、58)新韓(シンハン)銀行頭取の執務室に入ったら、まずこの額縁が目に付く。「初心を忘れないように」という気を引き締める言葉だ。
彼は4月に発足する新韓—朝興(チョフン)統合銀行の初代頭取に14日、内定した。厳しい生活のため、人文系高校に進学できなかった田舎の商業高校(群山商業高校)出身が、国内2位銀行のトップに上り詰めたのだ。
新韓銀行の行員たちは、このごろ飲み会で集まったら、決まって申頭取の座右の銘である「最初の時のように」を叫ぶ。
新韓金融持ち株は14日、羅應燦(ナ・ウンチャン)会長と李仁鎬(イ・インホ)社長、社外取締役たちが出席した中、子会社経営管理委員会を開き、統合銀行頭取に申頭取を内定した。申頭取は15日開かれる株主総会で公式選任される。
●外柔内剛…
「いやというほど自己管理に徹底した人」、「尊敬するリーダー」…
新韓銀行の職員たちに申頭取を一言で表現するならと聞いたところ、大体このように答えた。外柔内剛(外見は優しいが、気が強い)だ。
彼は一日24時間が足りないくらいに多忙だ。夕食の約束は2、3件が普通だ。忙しくて出席できないセミナー、講演などは録音をとって移動する際に車の中で聞く。
日本の大阪支店長時代には、暴力組織であるヤクザを相手に、遅滞債権を受け取ったというエピソードがあるほど、度胸と粘り強さの持ち主だ。
職員たちは申頭取を「兄貴」と呼ぶ。彼もプライベートな席では「頭取」より「兄貴」に呼ばれることを好む。
03年3月に就任して、「開かれた組織」「みんなで作りあげる組織」を目標に掲げ、職員たちとの対話の場を設けた。毎週木曜日の業務時間が終わると、MSNメセンジャー・サイバーチャット「時空超越対話ルーム」にも参加する。
●難しい課題も
申頭取は1日、月例朝会で韜光養晦(光を隠し、晦を養う)の姿勢を強調した。「表には現さず、黙々と力をつけよう」という意味だ。「逆行の前で逃げたり、放棄したりせず不屈の意志で克服しよう」とも述べた。
役員・職員たちに対する督励だったが、いずれも自分への注文でもある。
彼は朝興銀行との統合を成功させなければならない難題を抱えている。4月に統合銀行が公式スタートすると、両銀行は外形上では一つの銀行として生まれ変わる。ところが、異質な組織を化学的に融合させるのは至難の業だ。
銀行界では今年が「ビック4(国民・新韓・ウリィ・ハナ)」体制から「ビック2」体制に移行する分かれ道になるものとみている。下手をすれば化学融合に失敗し、競争時代に生き残れない恐れもある。
銀行の内外では「開かれた組織」と「みんなで作り上げる組織」を目指す申頭取の経営哲学が、統合過程で組織内部の対立をどのように生産的なものに昇華させるかに関心が集まっている。
「逆転の名手」(全盛期の群山商業高校野球部の別名)のように、申頭取が統合新韓銀行をリーディングバンクに位置づけることができるか注目される。
news91@donga.com smhong@donga.com