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平昌の「ヘイリー・ジェットコースター」

平昌の「ヘイリー・ジェットコースター」

Posted December. 12, 2017 09:27,   

Updated December. 12, 2017 09:37

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「龍の屠殺者(Dragon Slayer)」という異名を持つ米国のニッキー・ヘイリー国連大使から外交官的レトリック(修辞)を聞くのは難しい。強硬で直接的である。北朝鮮に対しては、「戦争が起きれば、政権が完全に破壊されるだろう」と脅しをし、ドナルド・トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都として宣言したことについては、「国民の意志に沿ったものだ」とかばった。ワシントンポストは、「(サウスカロライナ州知事出身の)彼女の直接的話法は外交経験がないこととは無縁ではない」と解釈した。

◆そんなヘイリー大使が、はっきりすべき部分では、かえって余韻を残した。米国の平昌(ピョンチャン)冬季五輪への参加について6日(現地時間)「もっと深く考えてみなければならない問題だ」としたのだ。トランプ大統領の「腹心」と思われた彼女の発言なので、その波紋は大きかった。ドーピングスキャンダルによるロシア出場禁止直後の個人資格での出場許容で、地獄と天国を行き来した平昌の雰囲気は、再びジェットコースターに乗った。ヘイリー大使としては、平昌五輪の安全性問題を、北朝鮮を圧迫するテコとして使いたいという狙いがあったのだろう。

◆オリンピックの本質を把握できなかった彼女の政治的試みは、その結果が良くなかった。オリンピックは単なるスポーツイベントではなく、平和の象徴という意味が大きい。トーマス・バッハ国際オリンピック委員会(IOC)委員長が北朝鮮の平昌五輪参加を支援するために、年内の北朝鮮訪問を推進するという構想が出てきたのも、このような流れからだ。国家資格で出場禁止をされたロシアも、選手たちだけは五輪旗をつけて出場を許可したが、ヘイリーの発言には、4年間汗を流してきた選手たちへの配慮もなかった。

◆ヘイリー大使が10日、フォックスニュースとのインタビューで、平昌に全米選手団が参加すると確認した。正式な米国のオリンピック参加如何は、政府ではなく、独立機関である米オリンピック委員会(USOC)が決定する事案である。 4日後に発言を覆した彼女は、言葉を惜しまなければならない外交官として、さらに自分の所管でもないことを口にする愚かさを犯した。いずれにせよヘイリーの「結者解之」で、平昌の雰囲気は再び盛り上がり始めている。世界の関心を喚起させたのが、かえって災い転じて福になってほしい。

朱性元(チュ・ソンウォン