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弾劾可決、あれから1年

Posted December. 09, 2017 09:40,   

Updated December. 09, 2017 09:42

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「朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は、職務遂行と関連して憲法と法律を違反し、国民が大統領に付与した信任を根本から破った」。1年前の12月9日、朴氏の弾劾訴追案を作成した訴追委員団は、国会本会議への説明を通じてこのように明らかにした。朴氏が崔順実(チェ・スンシル)という私人が国政壟断をするよう権力を私有化し、大統領に権力を委任した国民主権主義と代議民主主義の憲法精神に反したという要旨だった。

弾劾訴追案は賛成234、反対56、棄権2、無効7票で可決定足数200票を大きく上回った。新たな歴史の始まりだった。いや、新たな驚くべき歴史は、その1ヵ月前から始まった。朴槿恵ー崔順実ゲートに怒った市民は街頭に出て、ろうそくを持ち、憲法によって朴氏を罷免する弾劾手続きを軌道に乗せた。それが弾劾訴追可決から半年後の文在寅(ムン・ジェイン)大統領誕生の出発点であり、原動力だった。

秩序のある集会で法治主義に則って最高権力者を罷免した事例は、世界でも前例が見当たらないという点で、大統領弾劾は一種の名誉革命だった。その精神は、次のいくつかに要約できる。大統領の帝王的権力行使はもはや容認されないという三権分立の強化、憲法を違反した大統領も国会で憲法によって処罰する代議民主主義と法治主義の尊重、権力が企業を思いのままに振り回してならないという市場経済の原則、未来に再びこのようなことがあってはならないという国民的念願などだろう。これがろうそく集会と弾劾の手続きを経て誕生した文政権の使命でもある。

新政権誕生7ヵ月になる今日、果たしてこの政権がこのような時代の要請に忠実だったか点検せざるを得ない。民主的で気さくな文氏が前任のように大統領府の「九重深処」で誰にも分からないよう権力を壟断すると考える国民は多くないだろう。しかし、大統領に対する批判を口外したら一瞬にして有・無形の脅迫と圧力に苦しむことになるのは、帝王的大統領制の別の顔ではないのか。現大統領府で国会と野党を無視して一方通行の国政運営をすることが代議民主主義に合っているのか。何より法的な根拠も曖昧な各省庁の積弊清算タスクフォースが、過去の政権のことをかき回し、半年間も国が過去の沼から脱せないようにすることが、法治と未来という観点から見て、正しい方向かを悩まざるを得ない。

 

権力が企業を揺さぶることも大きく変わったようには見えない。権威主義政権のように企業のオーナーに圧力をかけて動かすやり方ではないにしても、最低賃金、労働時間の短縮、非正規雇用の正規化、労働理事制の導入など、市場経済の底辺を揺さぶるというより効果的なやり方で企業を締めつけている。司正・司法機関はもとより公共機関、公企業の人事による整地作業も着実に進んでいる。清算と整地、過去との戦いに疲労感を覚える国民が増えている。

もはや目を過去から未来に、内から外に向けなければならない時だ。米国の朝野で韓国に滞在する米国人の退避の声が上がり、平昌(ピョンチャン)五輪に対する不安感が表出する未曽有の危機の中、内輪で揉めていてはならない。積弊清算作業もこの程度でもういいだろう。今はこれまでの清算作業で明らかになった結果を持って制度の改善に乗り出さなければならない。それが、文氏が選挙期間に何度も強調した「大統合」の精神とも合っている。韓国が周辺のならず者と背高の政権に囲まれて不安に震えても、大統領が先頭に立って進まなければならないと言うなら、国民は信じてついて行くだろう。