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[オピニオン]「私は我が運命の支配者」インビクタス試合

[オピニオン]「私は我が運命の支配者」インビクタス試合

Posted May. 07, 2016 07:17,   

Updated May. 07, 2016 07:36

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英詩人ウィリアム・アーネスト・ヘンリー(1849〜1903)は、12歳の時、結核菌が骨の中に浸透したことを知る。幼い時に、左足の膝下を切断する苦痛を甘受しなければならなかった。この苦痛や逆境を克服する過程が、「インビクタス」という短い詩の素材となっている。ラテン語から由来した「インビクタス」は、征服されない人という意味だ。

◆「インビクタス」は、ノーベル平和賞受賞者であるネルソン・マンデラが愛唱した。「私は我が運命の支配者、我が魂の指揮官なのだ」という句を繰り返しながら自らを鍛え、地獄のような絶海孤島での刑務所生活に耐えた。一方、罪のない人命を殺傷して、この詩を口にした人もいる。米オクラホマシティ連邦庁舎爆破犯であるティモシー・マクベイは2011年、死刑執行直前の最後陳述の代わりに、この詩を残した。

◆ヘンリーの死から名を取った国際傷痍軍人体育大会が明日、米オーランドで開幕する。米ハリー王子の主導で、2014年、ロンドンで第1回が開かれたのに続き、今回が2回目となる。ハリー王子は飲酒やヌードパーティ写真で悪童のイメージが強いが、「ノブレスオブリージュ」の実践にも先頭に立っている。2006年、少尉任官後、王室の食い止めにも拘わらず、昨年の除隊時までアフガンのタリバン拠点地域などで服務した。傷痍軍人の苦痛を骨身にしみて共感したのが、インビクタスの創設へとつながった。今大会には15か国、500人余りが参加するが、その中に韓国はない。

◆バラク・オバマ米大統領やジャスティン・トルドー カナダ首相は最近、インビクタスゲームをテーマにした動画を披露した。「ハリー王子、勝負は始まった」と、オバマ大統領がツイッターや動画のメッセージを送った。するとハリー王子は、祖母であるエリザベス女王まで動員したコミック動画で切り返した。トルドー首相は、片腕で腕立て伏せの姿勢を取りながら、「カナダは準備ができている!」を叫んだ。首脳が乗り出して傷痍軍人体育大会への熱い関心を示しながら応援する姿が羨ましい。昨年木箱地雷によって足を失った二人の下士。国のために身を投げかけた彼らの献身や犠牲、苦痛を、我々は多忙な日常を言い訳に、あまりにも簡単に忘れて暮らしているのではないか。

高美錫(コ・ミソク)論説委員 mskoh119@donga.com