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[オピニオン]70歳現役の任志淳の想像力

[オピニオン]70歳現役の任志淳の想像力

Posted February. 26, 2016 07:31,   

Updated February. 26, 2016 07:59

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「ノーベル賞受賞が最も有力な韓国人物理学者」と言われているソウル大学の任志淳(イム・ジスン)碩座教授(65)は、セミナーで居眠りする姿がよく目につくと言われている。居眠りしながらいつ発表を聴いたのかと思われがちだが、質問の時間には真っ先に手を挙げる「奇人」でもある。任碩座教授は、発表者に対してすまないと言いながら、「ずっと居眠りしていたわけではない。発表の重要内容は概ね、後ろの部分から出てくる上、前の部分は面白くないから…」と説明したことがある。

◆任碩座教授は、小さい時から天才と言われきた。秀才たちだけが集まると言われていた京畿(キョンギ)高校をトップで卒業し、今の大学修学能力試験に該当する大学入学予備試験の全国トップとなり、本試験が行われていた1970年に、ソウル大学にトップ入学する実力を誇った。そんな彼も、米バークレー・カリフォルニア大学での留学の時は気が引けた。暗記や理解、問題を解くことには優れていたが、独創的アイデアを出すことには、多くの米学生たちについていくことができなかった。

◆氏は博士課程の時、「電算固体物理学」という新しい分野を開拓した。1998年は炭素ナノチューブを複数の束で束ねれば、半導体の特性が現れることを初めて突き止めた。その後、水素を固体状態に貯蔵できる物質構造を発見する目覚ましい成果を上げた。2011年は、世界で最高権威を持つ学術団体である米科学学術院(NAS)の終身会員になった国内初物理学者となった。週6日間も研究室にいながら、時間を惜しんで、悪口を言われても大学の役職にはつかなかった。彼は最も重要な研究徳目として創意性を取り上げる。

◆キャリアから見れば、勉強虫のように映るが、京畿高校時代は3選改憲反対の時局宣言文を発表したために停学となった。大学時代は、戒厳令や衛戍令が頻繁に出されたので、専攻の勉強より小説や社会科学関連書籍を多く読んだ。彼は、幅広い読書が深みのある考え方を引き出し、これが想像力発揮へとつながると、後学らを手引きしている。小さい時から現実への関心が多かったためか、彼の研究は実利的だ。氏は3月から、70歳の定年が保障されるポステク碩学教授に席を移して、新素材分野の産学協力研究を行う。70歳現役を夢見る彼の想像力が満開する日を期待する。

異鎭(イ・ジン)論説委員 leej@donga.com