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黒い服の女神で表現したカルメンの致命的運命

黒い服の女神で表現したカルメンの致命的運命

Posted November. 19, 2019 08:30,   

Updated November. 19, 2019 08:30

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古代のローマ人たちは運命の三つの女神パルカ(Parcae)が、一人一人の運命の糸を紡ぎ、最後の瞬間に糸を切ると思った。SOLオペラ団が15日、ソウル芸術の殿堂オペラ劇場で幕を上げたオペラ「カルメン」で、演出家Giandomenico Vaccariは、ビゼーの原作にない黒い服の三つのパルカを舞台に登場させて、カルメンの致命的(fatal)な運命に喩えた。

ジャコモ・アンドリコが製作した舞台は、鮮やかな色で雰囲気を生かした。1幕のピンクに近い淡い茶色はアンダルシアの山岳の色彩を、2幕のダークブラウンはバーの暗い雰囲気を、3幕の青は山岳の寒さと陰鬱さに現実感を加えた。舞台の前後の立体感は少なかった。イ・ヘギョンの振り付けで明確に表現されたアンダルシアダンスが見どころだ。

初日の公演のカルメンであるジュゼッピーナ・ピウンティは、カルメンとして「設計製造」されたメゾソプラノを連想させた。顔の表情からセギディーリャダンス、専門演奏者に劣らないカスタネットの演奏まで、多くの舞台経験から出るジプシー女を表わした。首の共鳴点を変えながら、さまざまな音色を示す方ではなかった。ドン・ホセ役のジャンカルロ・モンサルべは、プログラムブックに「この時代の最も優れたリリックスピントテノール」と紹介したが、彼の声は、ホセ・クーラやジョン・ビッカーズを連想させる「悪い男」のようなドラマチックなテノールの雰囲気を醸し出していた。ナイーブで騙されるドン・ホセというよりは、怠惰さのために自分の運命を誤らせるドン・ホセを表現した。

闘牛士エスカミヨ役のバリトン・エリア・ファビアンは、「闘牛士の歌」で強力だったが最低音で限界を現わした。ドン・ホセと戦う上司ズニガ役のベースのイ・デボムは、豊かな声量が印象深かった。信心深く優しい乙女のミカエラを歌ったキム・ウンヒは、1幕で多少表現が平面的だったが、3幕の「勇気のアリア」の切なる表現は、再び聞きたくなるくらいだった。

現役イタリア最高のオペラ指揮の巨匠とされるアルベルト・ヴェロネージがプライム・フィルハーモニー管弦楽団とウィナーンオペラ合唱団を率いる腕前はやや疑わしかった。2幕の5人の出演者が山賊を企てる重唱はやや遅いテンポだったにも関わらず、精密なアンサンブルを引き出せていなかった。合唱では、テノールの内側声部の音量がしばしばソプラノのメロディーを圧倒した。

三人のパルカの象徴演出は印象的だったが、多少の無理も生んだ。1幕の最後の部分では、パルカの布で目を覆った男主人公ドン・ホセが、カルメンが逃げるように見て見ぬふりをした。カルメンがドン・ホセを押しのけて行くようになっている原作とは違って、舞台が音楽の間のギャップが明らかになった。


ユ・ユンジョン記者 gustav@donga.com