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出生率の上昇に依存した楽観的推計で年金改革ができるのか

出生率の上昇に依存した楽観的推計で年金改革ができるのか

Posted January. 28, 2023 08:57,   

Updated January. 28, 2023 08:57

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国民年金をこのまま維持すれば5年前の予想値より2年早い2055年に基金が底をつくという見通しが明らかになった。国民年金財政推計専門委員会が27日に発表した第5回財政推計暫定結果によると、国民年金は18年の第4回推計より1年早い41年に赤字に転じ、1990年生まれが年金を受け取り始める2055年に基金が枯渇すると推定される。

積み立てていた基金が底をつく場合、将来世代が約30%の保険料を負担しなければならない。問題は、この暗鬱な推計すら期待を込めた社会経済指標に基づいているという点だ。核心変数である出生率からして問題だ。第5回推計では、合計出生率が来年0.7人まで下がった後、上昇に転じ、50年には1.21人になると仮定した。しかし、出生率は政府の見通しよりも早く下がっており、上昇に転じるきっかけがないのが現状だ。

経済変数も第5回推計では23~30年の生産年齢人口(15~64歳)の経済活動参加率を71.6%と予想したが、雇用労働部は昨年の発表でこれより低い71.1~71.4%と見通した。実質経済成長率も50年以降0.2~0.4%と捉えたが、その頃にはマイナス成長だと見る海外専門機関の報告書が出された。見通しは現実と違いが出るものだが、政府政策の基本となる推計は、「雨の時」に備えなければならないのではないか。

政府は今回の暫定推計では、出生率の見通しのうち中間値を活用し、最終推計では最悪のシナリオまで反映すると明らかにした。しかし、第4回推計の時も楽観的な指標に基づいているという批判を受けている。当時、20年の出生率を1.24人と見込んだが、実際には0.84人であり、経済活動参加率(男性基準)も20年には80%に上昇すると見たが、実際は72.6%に下がった。

年金改革の基礎資料である推計が出る度に信頼性への論議が提起されては適切な改革案を作ることは難しく、改革の動力も下がることになる。政府はスピードを出すために暫定展望値を事前に発表したというが、始まりから楽観的見通しを出し、改革意思がないのではないかという懸念まで出ている。3月に発表する最終推計は、世界的に類例のない急速な少子高齢化を考慮し、最も悲観的なシナリオを反映しなければならない。推計の信頼性を高めるために、外部専門家の検証を受けることも検討する必要がある。