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20%にも満たない食料自給率「10年以内に危機」、研究者が語る韓国の食料安全保障の実態

20%にも満たない食料自給率「10年以内に危機」、研究者が語る韓国の食料安全保障の実態

Posted June. 30, 2022 08:59,   

Updated June. 30, 2022 08:59

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英エコノミストが毎年発表する「世界の食料安全保障指数」で昨年韓国は32位だった。経済協力開発機構(OECD)国家の中で最下位の水準だ。日本が毎年10位圏である一方、韓国は2017年の24位から19年には29位に下落している。人口増加や災害、戦争などの食料危機状況に備えて適正量の食料を備蓄する戦略がないだけでなく、食料安全保障を担当する主務省庁すらないという指摘が多い。

新刊『食料危機 大韓民国』(ウェイルブック)を20日に出版したナム・ジェジャク韓国精密農業研究所所長(54)は29日、東亜(トンア)日報とのインタビューで、「米国と欧州、中国、日本をはじめとする強大国は、気候変動に伴う食料危機に対応するために国家百年の大計を立てているが、韓国では食料安全保障というテーマすら馴染みがないのが実情だ」と指摘した。

「食料危機はもはやアフリカなど開発途上国が体験する他国の話ではない。穀物自給率が20%未満の韓国が10年以内に体験することになる問題でもある」

小麦の自給率が0.7%にすぎない韓国は、1年間に消費する350万トンの小麦を米国、オーストラリア、ウクライナなどから輸入してきた。しかし、昨年から続く日照りで、米国の穀物生産量が約40%減少したうえウクライナ戦争まで重なり、食料品の価格が暴騰した。オーストラリアは3~5年ごとに繰り返す凶年で疲弊している。ナム氏は、「日照りや山火事、戦争など世界的な危機が重なれば、食料品の価格は脅威を受けるほかない」と話した。

 

解決策は食料自給率を上げることだが、現実的に容易ではない。韓国内の農地は毎年約1~2%減少している。ナム氏は最大の難関として地方の消滅を挙げ、「2020年基準で農家の70%は農業で得る所得が1千万ウォン未満だ。農耕地だけでなく農村人口が減少し続けている現実を考えると、食料自給率は今の水準を維持することも容易ではない」と指摘した。このため、グローバルな穀物供給網を多角化し、食料危機に備えて戦略を立てなければならないと助言した。世界各国の今後5~10年の食料生産量を予測し、先制的に契約を締結するシステムを備えなければならないということだ。

ナム氏は、「真の危機は、私たちが他国の食料生産量と備蓄量を全く知らない時に発生する」と警告した。世界各国は今後100年を見越して食料安全保障システムを構築している。米国は航空宇宙局(NASA)が農業関連人工衛星を活用し、世界の主要作物の栽培面積を推定して生産現況を分析してきた。中国は2017年、中国国有の化学大手、中国化工集団(ケムチャイナ)を通じて、スイスの農薬大手シンジェンタを430億ドルで買収し、素早く対応した。韓国は2025年に農林業に活用する中型科学衛星を打ち上げる。ナム氏は、「手遅れになる前に食料安全保障を国家的アジェンダに格上げしなければならない」と強調した。

「グローバル時代の食料危機は、農林畜産食品部だけでなく外交部と企画財政部が参加して解決しなければならない政府挙げての問題だ。様々な省庁が取り組む食料安全保障機構を構成することが食料危機に備える第一歩になるだろう」


イ・ソヨン記者 always99@donga.com