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新春9

Posted May. 14, 2022 08:39,   

Updated May. 14, 2022 08:39

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これが全てかと尋ねるなら、全てだと答える。「新春」というタイトルをつけた作品はこれ以外にももっとあるが、それぞれ異なる作品だ。9番はシリーズの終わりの番号で、4行が全てだ。俳句を想起させるほど短い。書き写すことが簡単なので、カリグラフィでもよく書かれ、ハングルを習うおばあさんが書き写したりもする作品だ。だが、簡潔だからすっきりしていると思うが、よく見てみるとハッと驚く。詩人の金芝河(キム・ジハ)氏が書いたからだ。

私たちは金氏をどのように記憶しているだろうか。「黄土のみち」に始まり、「ソウルの道」、「灼けつく渇きで」で民主主義を叫んだ闘士。そうして「愛隣」の憐憫を経て、生命思想に移った詩人。よどみなく語り、行動した彼の闘争記を考えると、「新春9」は意外に感じられる。

だが本当に意外だろうか。金氏は晩年に生命思想を展開したと知られているが、彼は初めから生命を大変愛した。なぜ人が人を捕まえるのか、なぜむやみに殴って殺すのかと憤った。詩人の怒りのもとには、愛と生命といったものが敷かれていた。松が好きで、桜の花が好きというこの詩にも、愛と生命が中心にある。それゆえ、金氏の詩なのかといぶかしがっても、金氏の詩だと思うようになる。

春の日と夏の日の境界から詩人は去り、春の日と夏の日の境界であるこの作品は残っている。詩人はいなくなっても、残るものを残す人だ。

文学評論家