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CCTV、犯罪ではなく「語り」を映す

Posted December. 06, 2021 08:25,   

Updated December. 06, 2021 08:25

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白南準(ペク・ナムジュン、1932~2006)氏を世に知らしめた作品は1974年、米ニューヨークに現れた「TV仏陀」だ。仏像の前にTVがあり、TVの後ろにビデオカメラが設置され、TV画面に仏像が映し出される。まるで仏像がTVの中の自分を見て考えにふけっているような姿を演出した。作品は、発表されるやいなや観覧客と評論家に大きな賛辞を受けた。その後も、この作品は研究されてきた。現代文明を象徴するTVと伝統を象徴する仏像の疎通を試み、新たな自己の認識方法をめぐる談論を提起したと評価される。

 

馬鹿の箱だと指弾されたTVは、白南準氏の手を経て芸術の媒介に変貌した。それから約50年が流れた今年、馴染みのない方法でメディアを活用した、アーティストたちの作品が繰り広げられた。京畿道龍仁市(キョンギド・ヨンインシ)の白南準アートセンターで開催されている「キャンプ、メディアの約束の後」は、TVやラジオ、インターネットなどのメディアが私たちの暮らしを占めている今日、各メディアの他の機能性を模索する。白南準アートセンター国際芸術賞2020年の受賞アーティストの「キャンプ(CAMP)」は、インド・ムンバイに基盤を置いて活動する5人のアーティストで構成されている。国際芸術賞は2009年から、白南準氏の実験精神を継承したアーティストに与えられる。

 

今回の展示で披露された新作「カメラのライブ按舞」は、監視メディアではなく芸術メディアとしてのCCTVにスポットライトが当てられる。キャンプは、旧都心と都市の再生が共存するソウル鍾路区(チョンロク)、乙支路(ウルチロ)の大林(デリム)商店街を選び、今年10月、建物の屋上にCCTVを設置した。1時間ごとに範囲が設定されたカメラは、これまであまり映し出されなかった都市周辺の「語り」を盛り込む。展示室とウェブサイト(cctv.camp)では、展示期間のリアルタイムの映像が再生される。2008年のアイルランド共和軍(IRA)のテロ後、多くのCCTVが設置され、英マンチェスターのショッピングモールなどでも同様のプロジェクトが行われた。

 

最近アートセンターで会ったアーティストたちは、「観客はCCTVを通じて犯罪現場や事件を目撃するのを待つ。しかし、映像を映画のように見れば、CCTVが通り過ぎる子犬や隣人が育てる野菜など親密なシーンを多く映し出していることを知ることができる。予想しなかったところに美的な発見があるということを伝えたかった」と話した。慣性から脱してメディア媒体を活用したということだ。

展示場には、2007年から現在までのキャンプの主要作品が8つの大型スクリーンで繰り広げられる「ムービング・パノラマ」、少数だけが接近可能だった白南準アーカイブ資料をオンライン(njp.ma)で公開し、アーカイブが討論の機会を提供するパイロットプロジェクト「ビデオアーカイブに対する提案」もある。3つのパートに分けられた展示は、質素に見えるかもしれないが、意味は深い。私たちの環境になってしまったメディアの生硬な姿を見て、技術には1つの用途だけがあるのではないということを知ることになる。アーティストたちは、「メディアインフラの上で個人が主体的で自由に行動してほしい」と話した。来年2月27日まで。無料。


龍仁=キム・テオン記者 beborn@donga.com