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ぼんやり聞いても引き付けられる… 「モンミュージック」の不慣れな即興音楽

ぼんやり聞いても引き付けられる… 「モンミュージック」の不慣れな即興音楽

Posted February. 25, 2021 08:10,   

Updated February. 25, 2021 08:10

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看板から目を引き付ける店がある。

「モン(ぼんやり)ミュージック」。目を引き付けるところだ。入ると現れる。ぼんやり聞いても、しっかり聞いても引き付けられる音楽…。昨秋オープンしたレコード会社だ。アルバムを12枚出したが、いずれもアバンギャルドジャズ、フリージャズジャンルだ。マニア市場が発達したドイツや米国に本社がありそうな、癖の強いレコード会社だ。

23日、「モンミュージック」の代表であるイ・ソンジェ氏に会ったところは、意外にも自然療法クリニックだった。氏が直接経営する店だった。「モンミュージック」の仙人的なアルバムの表紙は、すべて氏が直接描いたという。画家兼サックス奏者兼アルバム製作者兼自然療法士。なんとなく「ぼんやり」(または冥想)を正しく理解していそうな人物だ。

「米ボストンで生まれ育ち、勉強しました。32歳だった2014年になってやっと韓国に来て定着したんです。米国で自然療法を学び、美術展示会を開き、サックスを吹きました」

「モンミュージック」の哲学も、表紙ほど仙人的だ。DIY、自由即興、ローファイ(lo-fi・意図的低音質)。空いているライブクラブに演奏者を集め、彼らの長い即興演奏を旧式の4トラック・カセットテープレコーダーで収録する。録音、ミックス、マスターをイ氏一人でこなす。

「リアルタイム、ワンテイク(一発で録音)が原則です。事後編集や修正はありません」

イ氏自身もフリージャズ演奏者だ。2016年にチャラ島国際ジャズコンクールでグランプリとベストクリエーティビティ(最優秀創意)賞を受賞した。今年の韓国大衆音楽賞「最優秀演奏」候補にノミネートされた(今月28日に授賞式)。キム・ウニョン(ピアノ)、ソク・ダヨン(ドラム)と共にしたトリオアルバム「Pulse Theory」だが、50分44秒の即興演奏曲一つだけで構成された実験アルバムだ。

「米国に住んでいた時、偶然『Korean Free Music』という動画をクリックして衝撃に包まれました。韓国フリージャズの大家、カン・テファン、チェ・ソンベ、故キム・デファンの演奏でした」

韓国に来てみたら、若くて実力のある即興演奏者たちが多くてびっくりしたとは。しかし、彼らの現実は厳しいものだった。生計のため、雰囲気の良いジャズ、大衆的セッションの演奏をしながら、音楽的な羽を畳んでいる人たちが多かった。新型コロナウイルス感染症で舞台まで消えると、イ氏が、「モンミュージック」というものを作った。

ジバク(チェロ)、ピョ・ジンホ(ボーカル)、ソ・スジン(ドラム)、チェ・ソンホ(ギター)、キム・ボリム(パンソリ)…。楽器もジャンルも多様な人々が、自由即興の旗印と「モンミュージック」の名の下で収録に臨んだ。韓国第1世代のジャズ演奏者のチェ・ソンベ氏も、フリージャズジャンルへの復帰作を、昨年、「モンミュージック」から出した。

「韓国の若いフリージャズの演奏を外国の友人たちに聞かせると、『こんなに素晴らしい音楽が韓国に?』とびっくりしますね」

「モンミュージック」は、やはり「モンハダ(ぼんやりしている)」の「モン(ぼんやり)」から名付けた。イさんは自然治療を専攻し、瞑想に関心が高かった。

「演奏に打ち込めば、瞑想が始まります。自由即興音楽を聞く時は、和声の代わりに質感に耳を傾けなければなりません。暴風雨や波の音を聞く時のようにです。先入観と期待はすべて捨て、潜在意識を開かなければなりません」

キム・ドヨン(カヤグム)、シム・ウンジョン(チャング)などの新しい演奏者たちのアルバムも、まもなく「モンミュージック」から出る予定だ。

「カン・テファン先生の流れを受け継ぎ、韓国の即興音楽が盛り上がるように助けること、それを世界に知らせること。私が一生なすべきことです」


イム・ヒユン記者 imi@donga.com