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巨大与党、全能な公捜処を得て民心を失う

巨大与党、全能な公捜処を得て民心を失う

Posted December. 11, 2020 08:59,   

Updated December. 11, 2020 08:59

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与党「共に民主党」が推し進めた高級公職者犯罪捜査処(公捜処)法の改正案が昨日、国会本会議で可決された。賛成が187人、反対が99人、棄権が1人で可決された。公捜処法改正案のコアは、公捜処長候補推薦委で野党の拒否権を剥奪することだ。候補推薦委の議決定足数を現在の委員7人のうち「6人以上」から「5人以上」に下げて、野党委員2人が反対しても候補推薦が可能にしたのだ。与党は公捜処長推薦委に野党側が参加しなくても、従来の推薦委をそのまま稼動して公捜処長候補推薦、人事聴聞会を強行し、年内に公捜処を発足させるという計画だ。

公捜処法の処理直後、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、「公捜処が設置されたら司直・権力機関の間のけん制とバランスが取れる」と強調したが、現実とはかけ離れているようだ。公捜処は、必要なら、検察と警察が捜査中の事件を渡してもらう形で、いつでも検警捜査にブレーキをかけることができる。検察と警察は公捜処の牽制を受けるが、公捜処を牽制し統制する他の司直機関はない。司直・権力機関の間の牽制と均衡が実現できるとみられるいかなる根拠も見つけにくい。

公捜処は事実上、検察と警察を率いる絶対的権力機関になるという懸念が多かったため、与党は野党の公捜処長候補拒否権を法可決の最も重要な名分の一つとした。しかし、公捜処長任命のための野党との協議手続きが円滑でないことを理由に、公捜処の政治的中立性を担保するための最小限のけん制装置を、多数議席の力に頼って一方的になくしたのだ。野党の顔色をうかがう必要もなく、大統領府と与党の気に入った人物を公捜処長に任命するという「コード人事」を公言したわけだ。

早くも親文在寅(ムン・ジェイン)陣営では、「公捜処が設置されれば、尹錫烈(ユン・ソクヨル)検察総長夫妻が捜査対象の第1号になる」という話が出ている。公捜処を通じて、政権の言うことを聞かず、生きている権力を捜査するという尹総長を罰するという露骨な脅迫だ。このため、与党が公捜処の発足に拍車をかける狙いは、大統領府と親文在寅関係者に向いている検察の月城(ウォルソン)原発・蔚山(ウルサン)市長選挙介入捜査などにブレーキをかけるためではないかという観測が出ている。どの機関よりも政治的中立と手続き上の公正が重視されなければならない公捜処が、政権保衛のための司直機関に転落すれば、法治ではなく人治の黒い歴史として記録されるだろう。

与党は、公捜処法の成立を「改革立法の完成」としながら、自ら祝ったという。公捜処法の一方的な処理で強硬な親文在寅の支持層を結集させれば、政府・与党の支持率が反発するだろうと期待している。しかし小貪大失だ。こうした立法暴走に、大多数の民心は政府・与党に背を向けていることを肝に銘じなければならない。