Go to contents

米国が金正恩氏について知っていると考えること

米国が金正恩氏について知っていると考えること

Posted September. 16, 2020 08:06,   

Updated September. 17, 2020 12:01

한국어

私たちはよく「戦雲」を語るが、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との最近の交渉経験は「外交の霧」を際立たせる。長年の敵対国の瀬戸際戦術や首脳会談から学んだことがあるなら、それは慣れ親しみが差異点を明確にするとともに、核心的な現実を隠すことができるということだ。時には対話が相互理解、相互不信を深めたり、双方を深める可能性もある。

トランプ政権であふれ出る暴露を通じて多くの情報を得ることで、あなたは正恩氏の外交的目標や「レッドライン」が何かという基本的な質問に対する回答を知るようになったと思うかもしれない。マクマスター元大統領補佐官(国家安全保障担当)は自身の本『バトルグラウンド』( Battlegrounds)で、「炎と怒り」が外交準備のための最大限の圧力を加えるためにどのように試みられたかを説明する。マクマスター氏の観点で見ると、正恩氏を交渉テーブルに引き込む1次的な目的は、北朝鮮が数十年間続けてきた敵対的な行動パターンを変えるよう強要し、説得するということだった。マクマスター氏は、金正恩一家の問題で「挑発、偽の和解と交渉、強奪、譲歩、弱い協定の発表、合意の避けられない違反が煽る北朝鮮の攻撃的行動のサイクル」を挙げている。

ボルトン前大統領補佐官(国家安全保障担当)は2018年6月にシンガポール、2019年2月にハノイで開かれた米朝首脳会談をめぐる事件を記録する。ソーシャルメディアが公式書信を時代錯誤的にしたが、北朝鮮は手紙を書く技術を復活させた。予定された出会いが半月もまだ残っていない時にホワイトハウスに到着した正恩氏の手紙がなかったなら、シンガポール首脳会談は実現できなかっただろう。シンガポールのコンクラーベは緊張したムードを和らげたが、これは首脳たちの意思を盛り込んだ包括的な声明に土台を置いたプロセスの開始にすぎなかった。トランプ氏は、2回目の首脳会談を開く前に、より低い段階の対話で具体的な結果を主張するべきだった。

新著『Rage(怒り)』で、米紙ワシントン・ポスト副編集長のボブ・ウッドワード氏は、トランプ氏を彼自身の言語で話す。トランプ氏は、核兵器に対する正恩氏の態度を不動産にたとえ、「愛しすぎて売ることができない家のようなもの」と述べた。正恩氏はトランプ氏に「ファンタジー映画のワンシーンを連想させる私と閣下の歴史的な再会」を打診した。トランプ氏は、正恩氏が「私たちの深く特別な友情が魔法の力として作用するだろう」という媚びへつらいに気を良くした。

正恩氏が望むことの1つは、米国の軍事力に対する理解であり、理想的にはトランプ氏が彼の一方主義的な軍撤収論を掲げるよう誘導することだった。正恩氏は一部同盟の軍事演習の中止で補償を受け、恐らくこれを全面的に縮小するというトランプ氏の約束を類推しただろう。

暴露の結末は「トランプ―正恩」外交時代が正恩氏の動機に対する米国の懐疑を固めたということだ。しかし、韓国にはまだ北朝鮮が交渉に関心があると考える人が多いようだ。さらに、ある人々は(非核化ではなく)平和が最終結果になり得るという仮定の下、核武装した北朝鮮に富を移転しようとする考えを持っている。

韓国は、核兵器の武装解除に向けた戦争を望まないという意味で、北朝鮮の核兵器と共存しなければならないかもしれない。しかし、北朝鮮を永久的な核保有国と受け入れることも危険を高める。現在、正恩氏の両手はパンデミックと経済難、自然災害でいっぱいだ。もしこのような内部の問題がなかったなら、正恩氏は10月10日に予定された労働党創建75周年記念式後、11月3日の米大統領選までの間に奇襲攻撃をしたくなるだろう。

このような無数の内部問題のために、正恩氏は古い脚本に戻ろうとする傾向がいつもより強くなるかもしれない。来月の軍事パレードで大陸間弾道ミサイル(ICBM)の実物大の模型を公開することは驚くことでもないだろう。韓米同盟は、武力脅威から移動式地上または海上基盤の弾道ミサイル発射実験に至るまで、そしてサイバー戦の実質的拡大に至るまで、重大な挑発に備えなければならない。

ここ数年の間、核は保有するものの、その過程で軍事的衝突は避けようとする正恩氏の欲望がうかがえる。最近、正恩氏との取引が私たちに何か教えたとすれば、それは慣れ親しんだものと確実なこととの違いに神経を使わなければならないということだ。