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CIAコリアセンター、新設初期の目標は金正恩体制の転覆だった

CIAコリアセンター、新設初期の目標は金正恩体制の転覆だった

Posted September. 15, 2020 08:18,   

Updated September. 15, 2020 08:18

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米朝非核化交渉を水面下で調整した米中央情報局(CIA)コリア・ミッションセンター(KMC)が、新設初期に北朝鮮の体制転覆を目指したことが分かった。これは、米紙ワシントン・ポスト副編集長のボブ・ウッドワード氏の新著『Rage(怒り)』で、CIAコリア・ミッションセンターの設立過程の裏話を紹介した。

東亜(トンア)日報が同書を入手したところ、トランプ米大統領は就任1ヵ月後の2017年2月、9つの北朝鮮政策シナリオの報告を受けた。オバマ前大統領から「北朝鮮が最も危険で大きな問題になるだろう」と言われ、当時、米国家安全保障会議(NSC)でアジア上級部長を務めたマット・ポッティンジャー氏に作成を指示したシナリオだった。北朝鮮を核保有国として受け入れることから政権交代まで様々な内容のシナリオの中で、トランプ氏は北朝鮮指導部を脅かす「最大圧力」政策を選択した。

同年3月、ポンペオCIA局長(当時)はアンドリュー・キム氏に会い、「北朝鮮が大統領の最大の関心事」とし、CIAで北朝鮮を担当するセンターを率いることを要請した。韓国出身で29年間CIAで活動したキム氏は、「伝説的な要員で、理想的で洗練されたKMC適任者」と評価され、白羽の矢が立ったのだ。キム氏が「予算策定がすでに終わり、必要な予算を受けることが難しい」と指摘すると、ポンペオ氏は「必要な資金を調達する」とし、数百人の人材が必要だという要請にも「支援する」としてキム氏を説得した。1時間後、キム氏は新設されるKMCのセンター長を引き受けた。

キム氏は活動初期、トランプ氏が公式に命令を下した場合、北朝鮮の指導者を交代するための秘密諜報活動を計画していたと、同書は伝えた。これに先立ち、CIA内で「秘密作戦を通じてサダム・フセイン元イラク大統領を除去したなら、その後イラク戦争のような大きな代価を払わなくても良かっただろう」という評価が出てきたことが影響を及ぼしたと、ウッドワード氏は同書で説明した。

 

トランプ政権の北朝鮮への強硬路線を主導していたキム氏は、2018年3月にポンペオ国務長官の初の訪朝に同行し、米朝対話に深く関与することになる。ポンペオ氏は当時、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に会って、「韓国はあなたが非核化の意思があると伝えたが事実か」と尋ね、これに対して正恩氏は、「そうだ。私は父親として私の子どもたちが核兵器を担って行くことを望まない」と話した。

キム氏は同年5月、2度目の平壌(ピョンヤン)訪問をした。キム氏は、晩餐会で正恩氏の妹の金与正(キム・ヨジョン)氏が夫人の李雪主(リ・ソルジュ)氏とは違って礼儀正しく兄に接していることに注目した。与正氏は、正恩氏に対して「偉大な指導者」や「最高指導者」という呼称を使い、絶対に「兄さん」とは呼ばなかったという。

 

晩餐会が長くなると、北朝鮮側はポンペオ氏に一晩泊まるよう勧めたが、ポンペオ氏は固辞した。その代わりに、核兵器サイトのリストを渡すよう求めた。北朝鮮側は数時間、ポンペオ氏一行の飛行機を止めたが、最終的に出発するよう許可した。


ワシントン=イ・ジョンウン特派員 lightee@donga.com