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武力挑発を警告する北朝鮮、無気力と機嫌取りから脱して断固たる対応を

武力挑発を警告する北朝鮮、無気力と機嫌取りから脱して断固たる対応を

Posted June. 15, 2020 08:31,   

Updated June. 15, 2020 08:31

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南北関係の断絶を警告していた北朝鮮が、軍事挑発まで予告してきた。金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長は13日、談話で、「はっきりと南朝鮮の者どもと決別する時だ」とし、「対敵事業関連部署に次の段階の行動を決行することを指示した」と明らかにした。さらに、南北連絡事務所の取り壊しと軍事挑発の可能性にも触れた。大統領府は14日、国家安全保障会議(NSC)常任委員会を開いたが、北朝鮮に対する何の警告メッセージも出さなかった。

 

北朝鮮は、脱北者団体による北朝鮮の体制批判ビラが、金正恩(キム・ジョンウン)党委員長を冒涜したと理由を挙げるが、これは表向きの言いがかりであり、もっと複合的な理由があるだろう。北朝鮮は、核交渉の大きな動きを期待し、米国だけを見つめていたが、トランプ大統領は北朝鮮の誠意ある非核化を先に履行することを要求している。新型コロナウイルスと反人種差別デモなどの影響でトップダウン交渉を容認してくれるトランプ氏の再選が不透明な状況で、北朝鮮も焦り出したのだろう。国際制裁による経済難の中、トランプ氏の任期内に米朝関係の成果を出すことができない場合、政権の安全を維持することも難しくなりかねないと心配して、正恩氏がますます刺激的な瀬戸際挑発の手段を動員しているとみえる。

北朝鮮の圧力に、政府与党は対北朝鮮ビラ散布禁止法を作るとし、地方自治体まで脱北者の取り締まりに乗り出すなど低姿勢を見せている。大統領府はこれまでNSC常任委員会を開かず、特に反応を示すこともなく、結果的に北朝鮮は脅威を強めた。根本的には、北朝鮮核問題をめぐって政府は仲裁者を自任したが、北朝鮮が望む通り制裁を解くことも、米国が望む非核化の進展も成し遂げられず、誰も韓国を望まない状況になったということを認識しなければならない。両者から頬を打たれる韓国政府が、板門店(パンムンジョム)宣言後、南北関係の最大の変曲点を管理する力を持っているのかも疑問だ。6・15共同宣言から20年が経った南北関係は、後ずさりしているが、政府は手をこまねいて見ているだけだ。

 

北朝鮮が恐れるのは、韓米同盟が声を一つに対応し、軍事的に断固たる応戦体制を整えることだ。米中対立が激しくなり、韓米関係も在韓米軍駐留経費負担問題でふらついている。トランプ氏が「遠い国の紛争解決」に線を引く国際秩序の激変の中で、文政権は北朝鮮の挑発に直面して国民をどのように安心させるのか明らかにしなければならない。北朝鮮の居直り脅迫も呆れるが、これを避けるような韓国政府の対応は国民の不安はもとより外国人投資など経済にも深刻な悪影響を及ぼし得ることを肝に銘じなければならない。