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コロナワクチンの「ゲームチェンジャー」は誰だ?

コロナワクチンの「ゲームチェンジャー」は誰だ?

Posted May. 22, 2020 07:53,   

Updated May. 22, 2020 07:53

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米製薬会社・モルデナが18日、新型コロナウイルス感染症ワクチン候補物質の1相臨床試験(第1相)で、参加者全員に抗体ができたと明らかにしたことで、ワクチン開発への期待感を高めた。しかし、一部の学術誌がその翌日、モルデナが科学的根拠データを出さない点を挙げて、さらに見守るべきだという見解を明らかにしたことで、薬効をめぐる論議が起きている。

ワクチンとは、人為的に人体にウイルスに対する免疫力を備えさせる薬だ。ウイルスが体に浸透すれば、人間の免疫細胞のうち、「抗原準備細胞(APC)」が分解して「抗原」というタンパク質を作る。抗原は、ウイルスを認識させる一種の「顔」のような存在だ。人体の中の免疫細胞二つが、こんな抗原に気づく。T細胞は、ウイルスに感染した細胞を発見すれば、攻撃して取り除く。また、B細胞は抗原を記憶していて、再度侵入すれば、抗体を作って抗原を囲む。このように、ウイルスの病原性と感染力を弱める抗体を「中和抗体」という。今回モルデナが8人から確認したと主張した抗体だ。

ワクチンは、抗体生成のために四つの戦略をよく使う。まず、抗原の設計図を人体に入れる作戦がある。モルデナが試みた「核酸ワクチン」である。核酸は、タンパク質の設計情報を持つ遺伝物質であるDNAやRNAを意味する言葉だ。核酸を体内に入れて抗原を作らせる。DNAは、細胞に電気を流して穴をあけた後注入し、RNAは脂質で包んで接種する。

この方法は、ゲノム情報が分かれば速やかに作ることができるし、安全なので広く研究されている。世界保健機関(WHO)によると、今月15日までに研究されている計118件のワクチン候補物質のうち、26件(22%)が、この方法を使う。モデルナのほか、ドイツのバイオNテックがRNA方法を、米国イノビオがDNA方法を使う。今月21日は、米ハーバード大学の研究チームが、新型コロナウイルスを誘発するサーズコロナウイルス-2の感染に重要な役割をする「スパイクタンパク質」6種を作るDNAワクチン候補物質を霊長類に接種した結果、感染を防ぐ効果があったと、国際学術誌・サイエンスに発表した。しかし、リュ・チュンミン韓国生命工学研究院感染症研究センター長は、「まだこの方法で開発されたワクチンの事例が皆無であるのが弱点だ」と語った。

抗原の一部を作って入れる戦略も使われる。設計図ではなく、設計図から作られたタンパク質を入れる原理で、ワクチンの開発で「ベストセラー」技術に属する。口蹄疫ワクチン、肺炎球菌ワクチンなどの事例が多い。新型コロナウイルスワクチンの候補物質も、48件(41%)がこの方法である。ただ、新型コロナウイルス用としては、まだ臨床に入った事例がないという点は限界だ。国内ではチョン・デギュン生命研感染症研究センター責任研究員とソン・デソプ高麗(コリョ)大学薬学部教授チームが、この技術でワクチンを開発している。チョン責任研究員は、「すでに広く使われる事例が多く、安全性が高くて開発速度も核酸ワクチンに劣らぬほど速い」と語った。

「宅配」戦略も活用される。抗原を作る遺伝子を他の安全なウイルスゲノムにこっそり埋め込んで、人体に注入後、抗体を得る方法だ。現在、全世界で行われている新型コロナウイルスワクチン候補物質のうち、29件(17%)がこれに該当する。中国企業のカンシノと英オックスフォード大学ジェンナー研究所が臨床を主導している。オックスフォード大学チームは霊長類試験も終えた。

化学処理などでウイルスの毒性を緩和するか、まったくなくす(不活性化)伝統的な方法もまだワクチンの開発では有効である。ウイルスの抗原や設計図だけを入れるのではないだけに、様々な他の部位まで確認できる。新型コロナウイルスワクチン候補物質の中には、11件(9%)と比較的少数だが、臨床中の候補物質8件のうち3件を占めるほど、その可能性は十分である。中国のバイオテクノロジー企業・シノバクと北京生物製品研究所がそれぞれ臨床を行っている。


ユン・シンヨン東亜サイエンス記者 ashilla@donga.com