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「Bad Guy」を合唱した2万人、太極旗で応えたアイリッシュ

「Bad Guy」を合唱した2万人、太極旗で応えたアイリッシュ

Posted August. 17, 2022 09:04,   

Updated August. 17, 2022 09:04

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「すべての心配を振り切ってください。好きなだけ動き、狂ったように叫びながら歌います。踊って泣きます!」

4年ぶりに韓国を訪れた「ルールブレイカー」が、ソウルの湿った夜の空気まで壊してしまった。15日午後8時20分、ソウル九老区高尺(クログ・コチョク)スカイドームで開かれた「現代(ヒョンデ)カードスーパーコンサート26ビリーアイリッシュ」の舞台に、米国のポップスター・ビリーアイリッシュ(本名ビリー・オコネル)が、熱狂的な歓声の中で登場した。彼女は、公演の間にずっと「既存のポップ歌手の慣行を破壊した」という意味で付けられたニックネーム「ルールブレイカー」であることを自ら証明した。

暗くて陰気な音楽、薬物中毒と不安障害などを扱った憂鬱な歌詞、ささやくような歌い方、体つきを現さないだぶつくファッション…。本人は、「壊さなければならない規則が何かを意識したことはない」としてニックネームが気に入らなかったが、彼女は以前になかった音楽と個性で、やりたいことを思う存分繰り広げるZ世代のアイコンであり、1億人のインスタグラムのフォロワーを従えた「ポップセンセーション」になった。

●4年ぶりに観客が2000人から2万人に

韓国舞台で、アイリッシュはファンが期待した姿そのものだった。トレードマークのツインテール、「Dead or Alive」と書かれた大きなTシャツを着て舞台を盛り上げた。1時間20分間、23曲をこなす間ずっと「走れ!」と叫んだ。20代や30代の観客が大半だったが、子供の手を握ってきた親たちも見えた。彼女についてツインテールにした外国人のファンも多かった。

アイリッシュは、2018年の光復節(日本植民地からの独立記念日)に初の来韓公演を行った。当時、2000人の前で歌った新人歌手は、2万席あまりを20分で完売させたスターとなって戻ってきた。アイリッシュは、「4年前のこの日、初の来韓公演を行った。本当に不思議だ」と話した。レディー・ガガとエミネム、ポール・マッカートニーなどの来韓舞台を手掛けてきた「現代カードスーパーコンサート」は、パンデミックの影響で、2020年の英国のバンド・クイーンの公演後2年7ヶ月ぶりに再び開かれた。

アイリッシュは、「アンチポップ」(従来の大衆音楽とは異なる音楽)の先頭走者らしく、彼女の歌の中で最もアンチポップな「Bury a friend」を最初の曲に選んだ。「友達を埋めてしまえ」「君の舌をホッチキスで止め」等、恐ろしい歌詞と背中に注射器がいっぱい刺さった奇怪なシーンが盛り込まれたプロモーションビデオで、彼女の曲のうち、好き嫌いが分かれる方だ。だが、この曲の前奏が流れると、観客たちは「ビリー!」を叫びながら歓声を上げた。

観客が最も熱狂した曲は、フィナーレを飾った「Happier than ever」。彼女の実の兄フィニアス・オコネル(25)が、80ドルのギター1台で作曲したこの歌は、穏やかなバラードで始まったが、後半になるほどドラムとギターの演奏が吹き荒れるロック色を現した。クライマックスに達した時、音源にないドラムソロ、フィニアスの華麗なギターリフ、ここにビリーの頑丈な高音がのせられると、客席から「わぁ」という嘆声が沸き起こった。「All the good girls go to hell」「Bellyache」が出る時は、指定座席制が顔負けするほど観客全員が立ち上がって飛び上がり、代表曲「Bad Guy」では2万人が最初から最後まで「合唱」をした。

●今回も光復節に太極旗を持って舞台に

公演のもう一人の主人公は、アイリッシュとすべての曲を一緒に作ったフィニアスだった。2020年にグラミー賞の授賞式で、ピアノ伴奏者として舞台に立ったことのある彼は、同日、ギタリストに変身した。舞台裏で演奏していた彼は、穏やかなギターの旋律とアイリッシュの夢幻的な歌唱力が調和したバラード「Your power」と「The 30th」では、舞台の真ん中に出てアイリッシュと共に演奏を続けた。アイリッシュは、「フィニアスは、私が知っている最も賢くて面白い人」とし、愛情を表わした。

韓国ファンに対する愛情も惜しみなく表現した。彼女は初の来韓当時、ファンが渡した韓国国旗の太極旗(テグッキ)を羽織って公演を続け、話題になった。同日も一人の観客が、太極模様にアイリッシュの名前を白で書いた太極旗を渡した。アイリッシュは、受け取った太極旗を広げたまま、T字型の舞台をあちこち回りながら観客と疎通した。公演が終わった後も、太極旗を手にしたまま観客たちと挨拶を交わした。この日、防弾少年団(BTS)のメンバー・ジェイホープとRMが一緒に会場を訪れ、音楽に合わせて飛び上がるシーンが目撃されたりもした。「イカゲーム」の俳優チョン・ホヨンも、舞台を撮影した写真を自身のソーシャルネットワークサービス(SNS)のアカウントに掲載した。

2016年に15歳で音源共有プラットフォーム・サウンドクラウドに掲載した「Ocean Eyes」でデビューしたアイリッシュは、2019年に発売した1回目の正規アルバム「When We All Fall Asleep、Where Do We Go?」でスターになった。このアルバムで2020年のグラミー賞授賞式で、「今年のレコード」「今年のアルバム」など主要部門の4つの賞を総なめした。一人の歌手がグラミー賞の全部門を受賞したのは、1981年に米国のシンガーソングライター・クリストファー・クロス以来39年ぶりのことだった。


金哉希 jetti@donga.com