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働くママの給料はなぜ夫より少ないのか

Posted October. 16, 2021 09:04,   

Updated October. 16, 2021 09:04

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「イカゲーム」に先立って世界的に人気を呼んだネットフリックスのオリジナルドラマ「ペーパー・ハウス」シーズン3には、注目を集めるキャラクターが登場する。スペイン中央銀行に侵入した強盗グループを掃討する作戦を指揮するシエラ警部だ。彼女は臨月の妊婦だ たとえドラマではあるが、臨月の女性が重大事件への対応を総括するシーンは時代の変化を見せてくれた。

米ハーバード大学経済学科の初の女性テニュア(定年保障)教授である著者のクラウディア・ゴルディンは、「妊娠と育児のため、女性が仕事そのものをあきらめた時代は過ぎ去った」と話す。著者は、米国の大卒女性たちを生まれた時期別に5つのグループに分ける。グループ1は1878〜1897年に生まれた人たち。このうち、成功的なキャリアを持った女性たちは結婚や出産をしなかった。月日が経って、1958〜1978年に生まれたグループ5は、仕事と家庭の両立を成し遂げた女性が多数いる。

著者は、この「両立」の裏面は依然として暗いと指摘する。多くの女性が妊娠したり、子どもを産んだ後、同じ職場でも昇進で男性同僚に押されていると感じる。夫婦のうち、子どもに非常事態が発生した時、オフィスを飛び出すことができる「オンコール(on-call、非常待機)」の任務を担うのは、概ね女性だ。そのためには職場内の業務の中でも、勤務時間に柔軟性が認められる非核心業務を選ぶしかない。たいていこのような業務は、所得が少ない。性別所得格差が広がる理由だ。

働くママや妊婦がより厳しい仕事をすると要求しても、組織が母性保護を掲げてこれを受け入れないケースも多い。シエラ警部のような事例が現実世界では少数にとどまる理由だ。さらに、コロナ禍の中、学校や保育所がシャットダウンされた昨年、働くママたちは、「仕事と家庭」という二兎を追う途中、不意打ちを食らう状況に直面した。

著者は、「社会的次元で児童ケアサービスをもっとたくさん提供しなければならない」とか、労働構造を変えなければならないといったやや分かりきった解決策を出している。しかし、ノーベル経済学賞の候補として名前が挙がってきた著者が考えた女性のジェンダー平等に向けた約100年の旅程と、性別所得格差の原因を明らかにする過程を追うだけでも、この本を読む理由は十分だ。


孫孝珠 hjson@donga.com