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私たちは文学を読みながら大人になる

Posted October. 16, 2021 09:05,   

Updated October. 16, 2021 09:05

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学生時代、授業時間に先生に見つかるのではないかとびくびくしながら、教科書の下に隠した小説を密かに読んだことが一度はあるだろう。大学入試競争や不安定な未来への心配からくるストレスを、つかの間でも忘れようとしたもがきだった。作家であると同時に文学評論家の著者は、自分が17歳で読んだ本25冊を大人になった今再び読みながら、あの時は発見できなかったことを心理学と哲学などの観点で伝えている。

「私のライムオレンジの木」の主人公ゼゼは、暴力的な父親から受けた傷を、いろいろとトラブルを起こして癒したが、ポルトゥガさんに会って癒してもらい、大人になって他の子供たちを助ける。個人的な癒しが社会的に広がっているのを見て、著者は一歩ずつより良い方向に進む人間の開かれた心が宝物だと話す。王子と恋に落ちた「人魚姫」は、王子を刀で刺さなければ本人が生きることができないにもかかわらず、水の泡となる道を選ぶ。ありとあらゆる愛の海千山千を経験後、これを見直した著者は、人魚姫の選択から苦痛を甘受する人間の勇気を見つけ出す。「プラトンの対話編」で「私は誰なのか」という質問を絶えず投げかけるソクラテスを見て、著者は自分の使い道を悩ませるこの質問は、結局考えが一カ所に溜まって腐っていくのを防止する唯一の方法だということを悟る。

著者は、文学を通じて他人の人生を認知する時、真の大人になることができると言う。他人の話が与える悟りや私らしさを作ってくれるからだ。学生時代に読んだ本に再び目が行く。


イ・ギウク記者 71wook@donga.com