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[オピニオン]知音

Posted September. 24, 2021 08:49,   

Updated September. 24, 2021 11:12

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春秋時代、琴の名手、伯牙の演奏を最もよく理解したのは鍾子期だった。伯牙が高山を思いつつ演奏すると、鍾子期は「すばらしい。高く聳え立つ泰山のようだ」と言い、流れる水を思いつつ演奏した時は、「洋々と流れる川のようだ」と言った。心が通じたのだ。「知音」という言葉はこうして生まれた。「音を理解する人」から生まれたこの言葉は、のちに転じて、自分のことを最もよく理解し、認めてくれる人という意味となった。

知音を自任し、李白は故郷の地の峨眉山から降りた僧侶の演奏を絶賛する。僧侶の楽器を緑綺と命名した。緑綺は、前漢の文人、司馬相如が使ったという名器であり、僧侶の演奏が非凡であることを暗示したのだ。演奏は、「何万という谷の松風を聴くかのよう」、その響きが雄大で、清らかだ。客愁に浸った詩人の心は、洗われるように清らかになり、余韻はちょうど聞こえてくる山寺の鐘の音に溶け込む。周囲の雰囲気に交わり、無我の境地に至らせる演奏に心酔し、ふと気がつくと日は暮れ、秋雲が空を覆っている。音は跡形もなく消え、甘美でもの寂しい旅人の一日が暮れていく。