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完璧な人生はないからこそ、私たちはお互いを必要とする

完璧な人生はないからこそ、私たちはお互いを必要とする

Posted September. 18, 2021 08:19,   

Updated September. 18, 2021 08:19

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毎日、車輪のように回る日常にうんざりしたり、事が思うように進まない時、たまにどこかに旅立ちたい。今までの人生がむなしく感じられる時は、むしろ逃げた方がいいと思ったりもする。型にはまった生活から脱しなければ息ができないようだ。

大山(テサン)文学賞、李孝石(イ・ヒョソク)文学賞、申東曄(シン・ドンヨプ)文学賞などを受賞した著者は、今回の長編小説で完璧な人生は可能なのか、3人の登場人物を通じて探索する。彼らは他の人の部屋で過ごしながら、自分たちの人生を振り返る。

放送作家の仕事をしていたユンジュは、職場の上司と同僚に侮辱された後、仕事をやめて友達のミジョンが暮らす済州(チェジュ)に向かう。ミジョンは、人権法財団の幹事を務めていたが、自分の仕事に対する信念を失って済州島に先に渡った状況。ユンジュは、1カ月間空ける自分のソウル永登浦区(ヨンドゥンポグ)の自宅を、レンタルサイトを通じて香港出身のシジンに貸す。シジンは、永登浦に住む別れた恋人への思いを抱いてソウルに向かう。

それぞれ目的は違うが、自分たちが住んでいた所から逃げたのは同じだ。不慣れなところで過ごしながら日常の慣れが消えると、彼らはこれまでそっぽを向いてきた自分の本心に出会うようになる。何のために大変だったのか、完璧な人生とは何かを思い浮かべる。そして、彼らはお互いに頼れる支えになる。

著者は作家の言葉で、「完璧な人生の条件とされる信念と愛に従って、傷ついてさまよう人々の物語を描きたかった」と書いた。作家は3人の人物が信念と愛に傷つき、これを克服する過程を淡々と描いている。済州新空港建設、香港犯罪人引渡し法案反対デモ、非正規職問題など多様な社会的イシューも話の中で適切に溶け込ませた。

著者は、生涯は完璧ではなく、完璧である必要もないと言う。完璧ではない人生で挫折と希望を経験し、誰かに肩をもたれながら着実に人生を送ることができるという。日常に疲れた時、作品の中の人物の話に耳を傾けていれば、さらに一歩踏み出す力を得ることができるだろう。


イ・ギウク記者 71wook@donga.com