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「パリジェンヌ」のイメージは作られた?

「パリジェンヌ」のイメージは作られた?

Posted July. 31, 2021 08:42,   

Updated July. 31, 2021 08:42

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同書のパリジェンヌ(Parisienne)の章を読んで、約20年前にフランス・パリで乗った汽車での出来事が思い出された。当時、汽車内に喫煙室があり、5、6人のパリジェンヌが吐き出すタバコの煙に70代のおじいさんがずっと咳をしていた。非喫煙室が満席で、狸の穴に来た恰好だが、パリジェンヌは気にしなかった。この頃は、韓国では自由とされた大学でさえ、女子学生が復学生の顔色を伺って、ひそかにタバコを吸っていたので、あの場面が頭の中に深く刻み込まれた。「自分の権利の前に堂々としたパリジェンヌ」という先入観がインプットされた瞬間だ。

外交官である著者は同書で、パリジェンヌは一種の作られたイメージだと話す。さらに「パリジェンヌは伝説の動物だ。ユニコーンのように誰も見たことがないが皆が知っている」というフランスの作家ジャン=ルイ・ボリの言葉を引用する。それによると、女性をコルセットから解放させたココ・シャネルの衣服革命が、マリー・アントワネットで象徴される18世紀のフランス王室の贅沢と結びつき、服を着こなすパリジェンヌのイメージを作り上げた。ここに、ブリジット・バルドーやジャンヌ・モローなどのフランス女優の魅惑的なイメージが加わった。ついに、英国のエージェント・プロヴォケーターや日本のコムデギャルソンといったブランドの名前にフランス語を使うことが流行りとなった。

「近代以降、世の中を平定した西欧文明圏も、中を覗いて見れば、他の文明と違いはなく、全て人が暮らす話にすぎない」という著者の言葉のように、欧州の裏を見たい人は1度は見るべき本だ。


金相雲 sukim@donga.com