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スイス行き飛行機

Posted July. 31, 2021 08:42,   

Updated July. 31, 2021 08:42

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人はよく避暑に行く。負けてはならないと私も行く。エアコンが一番効いているところ、今回の避暑地は病院だ。実際、7月末や8月初めは具合が悪くなる季節だ。仕事は少なく、仕事をしたくない。一週間ほど消えてもいいだろう。病院に行けば読みたい詩集がある。金点用(キム・ジョムヨン)の『私一人残って遠い愛をした』だ。

 

詩人は、脳腫瘍で今春に亡くなった。闘病していた時に出たのがこの詩集だ。詩人の脳には、アストロチトームという星群の形の細胞腫(星状細胞腫)ができていたという。人はそれを「悪性」と呼んで忌み嫌った。しかし詩人はそれを「私の頭の中の星たち」と呼んだ。永遠に生きることができるかのように生き、一方に偏って生きてきたが、それではいけないと悟らせるためにその星がやってきたと言った。

詩人は、「頭の中の星たち」を自分の世界に照明のように浮かべた。そこで、翼竜も見て、夜空も見て、青空の飛行も見る。患者衣を着て一人で病室に座ってこのような詩を書いたというのは、完治ほどの奇跡だ。苦しくても人生と世の中を恨むことがないという可能性。信じ難いことを詩人は見せた。悔しくても冗談を言って笑い飛ばす。容易ではないことを詩人はやり遂げた。何の説明が必要だろうか。読まなければ損だ。荷造りをする時,この詩集だけは忘れずに持って行きたい。