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「コロナ禍」以降の変化の前で

Posted July. 24, 2021 08:14,   

Updated July. 24, 2021 08:14

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「艦隊から遠く離れて座り、船の真ん中に矢を放つと、彼の銀の弓が恐ろしい轟音を立てて震えた」

ホメロスの作品といわれる「イーリアス」では、トロイ戦争中にアポロンがギリシャ人に矢を放ち、疫病を抱かせるシーンがある。著者はパンデミックで世界が恐怖に震えている現在の状況が、トロイ戦争が起こった3000年前と違いがないと言う。この本は、新型コロナウイルスがどのように人類の災害になったのかについての分析から始まる。著者が注目したウイルス拡大の主な原因は、指導者たちの無能力。武漢でコロナ感染者が出始めた時、中国当局が関連事実を隠し、米政府が感染が拡大した後、手遅れて対処したのが代表的だ。人間の責任回避と無能力が、パンデミックの拡大に少なからぬ影響を及ぼしたという。

短時間でコロナ以前に戻ることが不可能な状況で、人類の前には「ポストコロナ」をどのように準備しなければならないかという課題が残った。これと関連して著者は、パンデミック後の変化がもたらす社会構造的問題について悩むことが重要だと指摘する。非対面の日常化による疎通の不在や失業事態などがその例だ。「私たちが取り戻そうとする日常が、かえって誰かに悲劇になってはならない」という著者の言葉はそれで意味深い。


金哉希 jetti@donga.com