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統一精神の象徴

Posted June. 24, 2021 08:03,   

Updated June. 24, 2021 08:03

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中世の服装の若い男女が階段の前で熱烈なキスを交わしている。男は茶色の帽子にマントを身に着け、女は艶やかな青いシルクのドレスを着て、貴族階級のように見える。2人は、たった今、恋に落ちた恋人なのだろうか。さもなければ、禁じられた恋をする悲運の恋人なのだろうか。

19世紀、イタリアのロマン主義を代表する画家フランチェスコ・アイエツが描いた絵は、ミラノのブレラ美術館の象徴のような作品だ。一見すると、若い男女のロマンチックな愛を扱ったようだが、実は愛国的な目的で描かれた絵だ。絵の中の若い男はイタリア兵士で、オーストリア帝国との戦いに向かうために女性に別れの挨拶をしている。もしかすると最後になるかもしれないため、2人はとても情熱的で、切実なキスを交わしているのだ。当時、ミラノをはじめイタリアの国土の大半がオーストリアの支配下にあったため、イタリア人は独立が切実だった。フランス革命と自由主義の波の影響で、1848年にミラノ市民はオーストリアの暴政に抵抗して独立を求める武装デモを行い、5日間の戦闘で400人の死傷者を出した。独立運動は失敗したが、アイエツは独立を断念することはなかった。

10年後、フランスがイタリアを助けてオーストリアを攻撃し、追い出すことになるが、これを記念した作品がまさに「接吻」だ。よく見ると、自由、平等、博愛を象徴するフランス三色旗の色が入っている。これは、フランスに対する謝意を表しており、フランス系の父とイタリア人の母を持つアイエツとしては、フランスの助けでイタリアが勝利したことを誰よりも感激したことだろう。

切実に望めば果たせるもの。半世紀にわたる独立と統一運動で、1871年にイタリアはついに統一を成し遂げる。絵の中の男女は統一精神の象徴であり、愛と平和を切実に願うイタリア人の自画像だ。

美術評論家