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金正恩氏「米と対話も」、非核化のない命綱の延長用ではいけない

金正恩氏「米と対話も」、非核化のない命綱の延長用ではいけない

Posted June. 19, 2021 08:19,   

Updated June. 19, 2021 08:19

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北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記が、朝鮮労働党中央委員会総会で、「(米国との)対話にも対決にも全て準備しなければならず、とりわけ対決には全面的に備える必要がある」と述べたと、北朝鮮メディアが18日付で報じた。正恩氏は、「刻々と変化する状況に機敏に反応し、朝鮮半島情勢を安定的に管理していくことに注力すべきだ」とも述べた。バイデン米政権発足後続けてきた沈黙を破り、正恩氏が初めて出した公式の対外メッセージだ。

 

正恩氏が、「対話」と「対決」のいずれにも触れ、特に対決に「隙のない準備」を強調したものの、これまでの敵対的態度に照らして、対話の方向に旋回する可能性がある信号とも読める。正恩氏は今年初め、米国を「最大の主敵」と規定し、その後、北朝鮮は米国のいかなる接触の試みも無視したり沈黙してきた。その北朝鮮が、米政権の対北朝鮮政策を詳細に分析したとし、新たに「情勢の安定的な管理」を掲げて柔軟なアプローチを示唆したのだ。

正恩氏が「対話」に言及して局面転換を図るのは、何よりも外と断絶してはもはや持ちこたえられないという対内的困難のためだろう。正恩氏は総会初日から、「昨年の台風被害で穀類の生産計画が達成されず、現在、人民の食糧事情が緊張している」と述べ、苦しい食糧事情を認めた。「非常防疫の長期化に備える問題」を案件にし、新型コロナウイルス感染拡大防止のための国境封鎖といった極端な対策が限界に達したことを示唆した。

窮地に追い込まれた正恩氏としては、ひとまず米国の「手招き」に呼応する態度を見せ、対外行動に出る可能性がある。対話の核心である非核化に対しては、駆け引きして時間を稼ぎ、直面した食糧難の解決と新型コロナウイルスワクチンの確保に力を入れる可能性が高い。一方では、大型の挑発を警告して「身代金」を引き上げるほか、米中対立という国際政治の変動性も利用するかもしれない。

 

しかし、北朝鮮が内部危機を免れ、政権の命綱を延長しようという「対話のための対話」ではいけない。騒々しい対決と劇的な転換、最後は幻滅のショーで終わった3年前の米朝対話をバイデン政権は十分に見てきた。挑発と交渉を往来する正恩氏の常套手法も、もはや通用しないだろう。