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自ら機関車になった曹操

Posted June. 15, 2021 09:46,   

Updated June. 15, 2021 09:46

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三国志の最高の悪役は董卓だ。洛陽を占拠した董卓は、羌族を含む遊牧騎兵を送って、宮殿、洛陽の富豪、首都近隣都市を手当たりしだいに略奪する。耐えかねた司徒・王允は、董卓除去の陰謀を企てるが、この時、董卓の信任を受けた校尉曹操が登場する。曹操は王允から宝剣である七星剣を借りて、董卓の寝所に入った。昼寝をしている董卓を突き刺そうとしたが、董卓が目覚めたせいで失敗してしまう。曹操は宝剣を董卓に捧げに来たと言い訳をし、危機から逃れてすぐ洛陽を脱出する。小説「三国志」に出てくる名場面だ。当然事実ではない。曹操が変装して洛陽を脱出したのは事実だが、これには他の理由があった。

曹操は、全国に蔓延した董卓政権に対する反感を感知したようだ。反乱が起これば、すでに反乱軍閥化した地方の太守たちが主役になるだろう。袁紹をはじめ、未来のライバルたちは既に太守として布陣していた。一方、曹操は洛陽でぶらぶらしている。反乱の列車はまもなく出発するが、曹操は列車に乗る資格がなかった.

大半の人はこのような時、自分の非運を嘆く。だが曹操は違っていた。自分の一族のいる都市に駆けつけて兵を集めた。かろうじて郡県を掌握できる兵力を集めたが、彼は恐れず反乱を起こした。すると全国から太守たちが呼応した。列車に乗れなかった曹操は、自らが機関車となり、私たちが知っているように、三国時代を率いる主役になった。曹操は道徳的に非難されることはたくさんしたが、決断と行動に移す部分では誰よりも早かった。時にはあまりに性急で危機に見舞われたが、そういう時には後悔するのではなく、もっと迅速に行動して危機を免れ損失を克服した。

筆者も過去の人生を振り返ってみると、通り過ぎる列車を見ながら「あの列車に私の席はないんだろうな」と悲しんだことが多々あったようだ。待ってさえいたら、いつか列車が私の前に止まったのだろうか。私はまだそこにいたのかもしれない。

歴史学者