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米「マスク着用緩和」で逆風、「性急」「イシュー転換用」論議広がる

米「マスク着用緩和」で逆風、「性急」「イシュー転換用」論議広がる

Posted May. 18, 2021 08:06,   

Updated May. 18, 2021 08:06

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新型コロナウイルスワクチンの接種を終えた人は、屋内でもマスクを着用しなくてもよいとする米疾病対策センター(CDC)発表後、余震が続いている。感染の警戒心を緩める性急な判断という指摘が相次ぐ中、今回の発表に政治的意図が介入したのではないかという論議まで起きている。米紙ワシントン・ポストは、米保健当局の今回の発表がインフレーションの恐怖で市場が揺れている時に出てきたという点で、バイデン政権が利益を得たと見る向きがあると報じた。

雰囲気がこのように流れると、CDCのロシェル・ワレンスキー所長は16日(現地時間)、1日だけ4社の報道機関とインタビューを行い、説明を行った。ワレンスキー氏はFOXニュース・サンデーに出演し、関連質問を受け、「今回の決定は政治的圧力とは何の関係もない」と反論した。そして、「私は科学を伝えている」とし、ワクチン接種が拡大して感染者が減っている状況などを根拠に挙げた。

ワレンスキー氏はNBCとのインタビューでは、「皆にすべての場所でマスクを着用しなくてもいいと許可を与えたわけではない」とし、「これは科学に基づいており、各自のリスク評価で判断する」と述べた。ワレンスキー氏は報道機関4社との連鎖インタビューで、CDCの決定の透明性や背景を集中的に説明した。「1日150万人から200万人の接種を行っている」とし、「毎日多くの人が接種を受けているが、(ワクチンを接種していない人がマスクを着用する)『自主管理システム(honor system)』がうまくいくかは人々にかかっている」と強調した。

米連邦政府のマスク着用ガイドラインと関連して、わずか2日後にワレンスキー氏の話が変わったことも議論になっている。ワレンスキー氏は11日、議会で、マスクを着用しなくてもいい時期について質問を受け、「国民3分の1だけがワクチン接種を完了した。市中感染は続いている」とし、マスクの着用、ソーシャルディスタンシングなどの措置を続ける必要性を強調した。しかし2日後の13日に、CDCはワクチン接種完了者に対する「屋内ノーマスク」の方針を発表したのだ。発表当時、ワレンスキー氏は、「ワクチン接種を終えた人はパンデミックが理由でやめたことを再開できる」と述べた。2日間で米国内の新型コロナウイルスの状況が大きく変わったわけではないのに、マスク着用と関するCDCのガイドラインが変わった理由について疑問が提起されている。

同紙によると、ワレンスキー氏は10日夜にマスク着用を大幅に緩和する新たなガイドラインを決めていたという。しかし、米ホワイトハウスのジェフ・ザイエンツ新型コロナウイルス対策調整官には2日後、公式発表前日の12日午後6時に知らせ、これがホワイトハウス参謀に伝えられたのは午後9時になってからだった。バイデン大統領は発表当日の朝に報告を受けた。当日午後、バイデン氏の演説は予定になく、突然組まれることになった。一部の州知事は準備ができていない状態で、CDCの新たなガイドラインを適用して関連規定を変更しなければならないことに困惑している。22の州は今もマスク着用を義務づけている。バイデン政権当局者は、このようなコミュニケーションの雑音がかえってCDCの独立性を示していると抗弁する。CDCに数回にわたって圧力をかけたトランプ政権とは違って、現在はホワイトハウスが何の干渉もしないため、CDCの決定を事前に知ることができなかったということだ。

バイデン氏を批判する側からは、CDCの今回の発表で、問題となる別の懸案を覆い隠そうとしたのではないかという解釈まで出ている。同紙は、「ワレンスキー氏が突然に下した決定は、バイデン反対派に政治的口実を与えた」とし、「彼らは多くの米国人がガソリンスタンドに列をつくり、中東緊張の高揚やインフレーション恐怖で市場が揺らいでいる状況でこのような発表が出たことで、バイデン氏が利益を得たと話している」と伝えた。最近のコロニアル・パイプラインのハッキング被害による東部地域の「ガソリン大乱」、イスラエルとパレスチナの衝突、インフレーションの懸念などが相次いで提起されている時にマスク着用ガイドラインの緩和の決定を突然出すことで、国民の不満を和らげようとしたという主張だ。

CDCの「屋内ノーマスク」ガイドラインの発表をめぐって、全米看護師労組が声明を出し、「患者、看護師、労働者の生命を脅かす」と主張するなど、パンデミックの状況で生半可な措置という批判が相次いだ。


ワシントン=イ・ジョンウン特派員 lightee@donga.com