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某日

Posted May. 15, 2021 08:12,   

Updated May. 15, 2021 08:12

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朴木月(パク・モクウォル)と言えば「モミルムク(そばで作ったところてん)」が思い浮かぶ。彼の詩「寂寞たる食欲」に出てくる話だ。詩人は「モミルムクが食べたい」とし、それを「薄くて香ばしくて素朴で上品な食べ物」と表現した。春の日の沈む頃、物足りなさを感じる食べ物だともいわれた。だから今のような晩春、ましてや少し寂しい日なら、朴木月と「モミルムク」を思い浮かべざるを得ない。

詩人も素朴で上品な方だったと聞いている。詩を読んだら本当だなあと思う。ぬくもりと慈しみ深さが詩に見える。おそらく偉そうな顔、金持ちぶった顔、学識のありそうな顔もしなかっただろう。世間に多くの人々は、あまりお金がなくても、持っていると大げさに言う。この世に素朴で上品な人は少ない。我々は珍しいことを簡単に忘れるか、あるいは貴重に思うだけだ。

大切な人に会いたくて「某日」を紹介する。詩人のタイトルをつけているが、朴木月は自ら「物足りない」と言う。私をすべて表現することもできないし、家族の暮らしを助けることもできない。彼は自分を飾らない。あるがままに満足し、感謝する。青緑派の一人が、「北には素月(ソウォル)、南には木月」という人が「ありがたくて涙が出る」と言うから、頭が下がる。

大人とはあんな人のことをいう。自分の足りないところを認めて謙虚に生きていく人。非難より理解で、欲望より望みで生きたい。「モミルムク」のような淡白な人に似たい。