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父のための哀悼

Posted May. 05, 2021 08:22,   

Updated May. 05, 2021 08:22

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父は癌にかかって死境をさまよっていた。詩人はその姿を見守りながら苦痛を覚えた。「暗い夜の中に、あまり大人しく立ち入らないでください」というタイトルの詩は、そうした苦痛の産物だ。詩人の名はディラン・トーマス。

19行でできた定型詩は、「暗い夜の中にあまりおとなしく立ち入らないでください」という言葉で始まり、「光が死んでいくことに憤り、また憤ってください」という言葉を何度も繰り返す。日が暮れたからといってあまり素直に夜を受け入れないでということだ。人生を昼に、死を夜に例えたのだ。最初はなぜこのような隠喩を持ち出すのか不思議だが、最後の連になると、死んでいく父親のためだということが分かる。悲しみの高地にいる私の父/夜の中にあまりおとなしく立ち入らないでください/光が死んでいくことに憤り、また憤ってください」。父が耐えてくれることを願う息子の気持ちがそのまま込められている。

ウェールズの詩人トーマスの詩は、ウェールズ俳優アンソニー・ホプキンスの重たい声で聞くと、響きが倍になる。ホプキンスがこの詩を朗読したのは50歳のときだった。読むだけでも心が悲しくなる詩は、悲哀感がにじみ出るホプキンスの声が添えられるからなおさらそうだ。長い歳月が流れた2021年4月、84歳の老人になった彼が、その詩を再び呼び出した。父の墓でのことだ。ところが今回は不完全な朗読だ。「とても苦しいですね」。亡くなった父のことを考え、朗読を終えることができなかったのだ。氏は、その様子をツイッターに動画で掲載した。そして、それから数時間後、自分がオスカー主演男優賞を受賞したという知らせを聞いた。偶然にも映画「ファーザー」(父)でアルツハイマー病にかかった老人役を演じて熱演した結果だった。彼が演じた父親も、彼が朗読した詩の中の父親も私たちの父親だ。病気で持ちこたえていたが、結局わたしたちのもとを去ることになる父。詩であれ、映画であれ、芸術は時にはその苦しい記憶についての記録である。そんなふうにでも哀悼するのだ