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色とりどりの花

Posted March. 06, 2021 08:14,   

Updated March. 06, 2021 08:14

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西洋の騎士は、馬に乗って、盾を持ち、ドラゴンを退治しに行く。「ニーベルンゲンの歌」には英雄がドラゴンを退治する話が出てくる。西洋人が血に染まった歌を好んで歌う時、私たちは花に染められた歌をよく歌った。騎士の代わりに子どもが、馬の代わり牛に乗り、盾の代わりに草笛を吹き、野原を駆け回った。牛にムチを打つ子どもと子どもを乗せた牛と野原。この3拍子は、私たちの心を満たす。牛にムチを打つ子どもは見たこともないが、彼らの牧歌的な風景は長く見てきたように馴染みがある。

それゆえ、この詩の最初の一節を読むやいなや、感じることができた。これは到達できない理想郷だなと。とても行きたいが、とうてい行くことができない所だ。詩で、子どもと牛は言葉もなく意思疎通が可能だ。それは失った古代でも可能だった満たされた世界だ。詩では香りを漂わすだけで、実際の素ぶりなどはない。

詩人イ・サンファ氏が言ったように、最も美しいのはただ夢の中だけにある。白い牛に花や草を食べさせる夢を見るなら、その夜はとてもワクワクするだろう。しかし、最近、このような夢を見るなら、ときめく前に悲しみからこみ上げるだろう。今春は、木蓮の花やスミレが、見ることができない間に咲いては散るからだ。空を見て笑いたい思いは、子どもも私たちも同じだ。

文学評論家