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バイデン時代の開幕、「親切な米国」の帰還と勘違いしてはいけない

バイデン時代の開幕、「親切な米国」の帰還と勘違いしてはいけない

Posted January. 21, 2021 08:02,   

Updated January. 21, 2021 08:02

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バイデン米大統領が20日に就任した。政権交代をめぐる深刻な混乱と恐怖を克服し、米国の新時代の開幕を伝えた。バイデン政権は、前任のトランプ政権の否定的な遺産の清算作業から始める。国内的には分裂と対立を治癒し、国際的には自由主義の秩序を回復させる歩みを本格化するだろう。

バイデン時代の開幕は、民主主義と人権、同盟を重視する自由民主国家の宗主国としての伝統的スーパーパワーの帰還を意味する。トランプ時代の一方的な独善とルールの無視、同盟軽視とは全く違うだろう。しかし、バイデン政権は価値とルールを掲げ、精巧な形で国益を守り、世界を導いていくだろう。グローバルリーダーとしての米国の復帰は、韓半島をめぐる北東アジアにも拒否できない変化を求めている。

韓国には、北朝鮮政策の全面的な見直しという課題を投げかけた。ブリンケン次期国務長官は承認公聴会で、北朝鮮の核問題について、「良くならず、さらに悪くなった」とし、トランプ式アプローチを見直すことを明らかにした。北朝鮮に対する圧力強化の措置も講じると述べた。オースティン次期国防長官は、北朝鮮の核能力に相応する軍事的態勢を強化すると強調した。トップダウン式アプローチの廃棄を越え、より厳しい非核化の条件、これに向けた制裁・圧力の強化に乗り出すということだ。

中国に対する牽制路線の参加要求も一層強まるだろう。新政権の人々は一様にトランプ前政権の政策の中で唯一、対中政策に対しては「正しかった」という評価を出した。バイデン時代に入って、米中戦略競争が一層激しくなることで、両国の間で韓国が経験することになる圧力感はより一層強くなるほかない。韓日関係の改善による日米韓協力体制強化は、もはや避けられない宿題となった。

にもかかわらず、韓国政府には漠然とした楽観論が広がっている。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は新年記者会見で、「バイデン新政権の価値基調や多国間主義の原則、同盟重視など、韓国政府とコードが合う点がある」と述べた。失敗に終わったトランプ政権でのシンガポール合意を継承するよう米国を説得するとし、韓米が決める合同軍事演習の問題も北朝鮮と協議するとまで述べた。これでは新政権のムードを正しく読んでいるのか疑念を抱かざるを得ない。

バイデン時代の米国は、過去、韓国の民主化と南北和解を応援した米国でも、一時韓国大統領とネクタイを交換したバイデンでもない。自国のことで精一杯で多国を助けることができない状況だ。ものものしい警戒の中、行われた就任式の見慣れぬ風景は、新政権の前に置かれた国内的難題を示す。索漠とした米国内政治は、対外政策で行動の幅を狭める可能性がある。バイデン政権の発足を謙虚で親切な同盟国の帰還だと勘違いしてはならない理由だ。