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みかん一つ

Posted January. 16, 2021 08:27,   

Updated January. 16, 2021 08:27

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ノートブックを新しく買った。昔に買ったものより速度は上がったが、値段は安くなった。意外にも苦々しい思いがした。ノートブックの傾向は一種の象徴だ。時代は人にもノートブックと同じ変化を期待することが明らかなためだ。仕事場でも業務効率は高まり、労働価値は下がるだろう。すでに気忙しいが、今後もっと気忙しくなるだろう。

しかし、人は新しく開発されたノートブックではない。より多くの業務をよりはやく処理することは当然のことではない。時には、1日に1つでも上手くすればいいと考えてこそ、明日を生きることができる。人は、自己自身を喜び、自己称賛する必要がある。自分をほめなければ、誰もほめてくれない。人の暮らしは意味で満たされているので、どんな意味を与えるかによって、暮らしは変わる。

意味は探してこそ生まれる。見た目は些細で平凡な存在も、実際は大きな意味を持っているかもしれない。朴敬用(パク・ギョンヨン)の詩「みかん一つ」も同じ脈絡の作品だ。詩人は、手に取ったみかん1粒がどれほど大きな意味を持っているのかを伝える。1粒のみかんは、済州(チェジュ)の夏と秋の全体を内包している。農夫とみかんの木から大きな愛を受け、大地と太陽の日差し、風によって育まれた。詩人は小さなみかんが大きな部屋を満たしても余りあることを発見した。

千手観音に進化してこそ今日すべき事をすべてすることができるという絶望に陥る時、「みかん一つ」を思い出そう。小さなみかんの壮大な意味を考えれば、小さな自分にもいつのまにか勇気が湧いてくる。時にはみかん1袋を買って、意気揚々と家路につこう。