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新型コロナのワクチンは東京五輪を救えるか

新型コロナのワクチンは東京五輪を救えるか

Posted November. 27, 2020 09:14,   

Updated November. 27, 2020 09:14

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「可能な限り外国からの参加者にはワクチンを接種した上で、大会に参加してもらうようにしたい。日本の国民を守ることにつながる」

最近伝えられたバッハIOC会長の発言だ。バッハ氏は15日から18日まで日本を訪れ、菅義偉首相、東京五輪組織委の森喜朗会長、安倍晋三前首相らと会い、日本の主要競技場を視察した。AP通信などによると、バッハ氏は16日、日本側関係者らと会った席でこのように明らかにした。

バッハ氏は、これに先立ち先月末に韓国で開かれたソウル平和賞の受賞式には、本人が受賞者だったが参加しなかった。バッハ氏は2018年の平昌(ピョンチャン)冬季五輪の南北単一チームの構成に貢献した功労で同賞を受賞した。ソウル平和賞は、東西の和合に貢献した1988ソウル五輪の精神を記念して作られた賞だ。バッハ氏は、新型コロナウイルスが欧州全域に拡大し、韓国に行けなかったと明らかにした。

 

にもかかわらずバッハ氏が訪日を強行したのは、新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るっている状況で、日本の国民と五輪のスポンサーに五輪が開かれるという信頼を与えることが必要だったためとみられている。

バッハ氏が日本に到着する前、米製薬会社ファイザーのワクチン開発のニュースが伝えられた。IOCにとって、新型コロナウイルスを克服し、五輪が正常に開催されるという信頼を与える朗報だっただろう。

しかし、「日本の国民を守る」というバッハ氏の発言は微妙な感じを与える。まず、バッハ氏が訪日中に、日本国民を安心させるためにこのような発言をしたという点は理解できる。また、世界各国の人々が押し寄せる場合、予期しない新型コロナの感染問題が起こり得るということも予測できる。しかし、日本国民だけを守るのではなく、全世界から五輪に参加する人々も共に守ると表現したなら、もっと良かっただろう。五輪に参加する数万人の選手や関係者、観衆が新型コロナウイルスを日本に伝える可能性もあるが、彼らも日本で感染する可能性があるためだ。日本の国民に劣らず、五輪に参加する誰もが、新型コロナウイルスから安全でなければならない。他国から来た五輪参加者だけが感染源で加害者になり得るといった誤解を生むような発言は警戒しなければならない。それゆえ日本国民だけでなく海外から来る五輪参加者および観衆皆のための感染対策が必要だ。

五輪参加者はワクチンを接種するというバッハ氏の発言は強制事項ではない。しかし、IOCはこのために最善を尽くすと明らかにした。しかし、バッハ氏の言葉通り、五輪に参加するすべての人がワクチンを接種できるだろうか。APはもとより各種外信は、選手が必ずしもワクチンに好意的であるわけではないと伝えた。速いスピードで実験が進められているが、まだ最終実験が終わって流通段階に至っていないためだ。副作用の恐れもあり、ワクチンが選手のコンディションにどのような影響を与えるかも分からない状態だ。

 

大韓体育会関係者は、「バッハ氏の発言後、ワクチン関連の対策会議を行った。しかしまだワクチン実験が進行中で、購入および接種の有無を決めるには最終の流通段階まで待たなければならない」と話した。ドーピング問題の専門家は、「まだワクチンに対する具体的な事項を見ることができていないため、選手に対する影響を話すことができない状況」と伝えた。

結局、彼らの話を総合すると、まだワクチンが選手の競技力に影響を与えるのかどうか、安全なのかどうかを語るのは時期尚早だ。五輪参加者がワクチンを接種してもいいのか確信が持てるにはもう少し時間が必要だ。

安全性が確保されたとしても、ワクチンの確保が問題になり得る。ワクチンの価格は何千ウォンから何万ウォンまで様々に議論されている。貧しい国家の場合、選手団のワクチンの費用が負担になりかねない。何よりも全世界でワクチン争奪戦になることは明らかで、ワクチンを十分に確保できない国家が出る可能性があり、このような国家の選手をどのように参加させるかも議論しなければならない。また、ワクチンだけで五輪を新型コロナから完全に遮断できるのかという問題も残る。ワクチン開発が五輪を救うことできるのか、解かなければならない難題は多い。


李元洪 bluesky@donga.com