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「遺伝子はさみ」で先天性失明疾患の治療に成功

「遺伝子はさみ」で先天性失明疾患の治療に成功

Posted October. 23, 2020 08:26,   

Updated October. 23, 2020 08:26

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今年のノーベル化学賞は、生命工学で最も革新的な技術として脚光を浴びているクリスパー(CRISPR)遺伝子はさみを開発した2人の女性化学者が受賞した。クリスパー遺伝子はさみは、生命体の情報を含んでいるDNAから遺伝性疾患を誘発する特定部位の塩基を切り取って校正する技術だ。最近では、遺伝子はさみ技術の精度と効率が高まり、先天性遺伝性疾患の治療の可能性を高めている。

韓国の研究者らが柱となっている米 カリフォルニア大学アーバイン校ギャビンハーバート眼科研究所のクシシュトフ・パルチェフスキー教授の研究チームは、DNAの単一塩基を矯正する「塩基矯正遺伝子はさみ」の技術を利用して、先天性遺伝性疾患である「レーバー先天性黒内障」を誘発する遺伝子校正の効率を大幅に高めることに成功したと、国際学術誌「ネイチャー・バイオメディカル・エンジニアリング」の19日(現地時間)付けのオンライン版に発表した。

レーバー先天性黒内障は、カーテンが上から降りてくるような視力障害疾患で、「RPE65」という遺伝的欠陥で生じる先天性幼児疾患だ。レーバー先天性黒内障を持って生まれた子供は、徐々に視力が落ちて10~20代に失明する。

パルチェフスキー教授の研究チームは、レーバー先天性黒内障にかかったマウスを対象に、「塩基矯正遺伝子はさみ」の技術を使用してRPE65遺伝子を29%の効率で校正することに成功した。既存の遺伝子はさみの技術では、遺伝子矯正の成功率が1~2%に過ぎなかった。光を探知できず、方向、大きさ、明暗などを区別できなかったマウスは、遺伝子矯正後、網膜から脳までにつながる視神経が回復されたことが分かった。

研究チームが活用した塩基校正遺伝子はさみ技術は、「ベース校正」と呼ばれる。DNAの二本鎖を切断して校正することなく、単一の塩基を切り取って校正する技術で、遺伝子はさみ分野の世界的碩学であるデービッド・リウ・ブロード研究所教授が開発して、昨年、国際学術誌・ネイチャーに発表した。

論文の第1著者であるソ・スジ・ギャビンハーバート研究所博士課程研究員は、「塩基矯正遺伝子はさみは、既存の遺伝子はさみに比べて精度と効率が高く、遺伝子変異によって生じた遺伝性疾患を治療することに画期的な技術だ」とし、「今回の研究で、遺伝性疾患の治療に一歩近づくことができる」と語った。


チョ・スンハン東亜サイエンス記者 shinjsh@donga.com