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革新のアイコン、ウーバーはなぜ危機を迎えたか

革新のアイコン、ウーバーはなぜ危機を迎えたか

Posted September. 19, 2020 08:26,   

Updated September. 19, 2020 08:26

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「スーパー・パンプド(super pumped)」はウーバーが強調する人材像だった。「最高のエネルギーでいっぱいの状態」を意味する言葉で、共有経済のアイコンであるウーバーが世界的な企業に成長する上で核心的な役割を果たした。好戦的なカリスマ性を前面に出した創業者トラビス・カラニック氏のキャラクターを説明する言葉でもある。

米紙ニューヨーク・タイムズのIT専門記者の著者は、シリコンバレーで2008年に創業以来右肩上がりに高成長を続けたが、2017年に大危機を迎えたウーバーを12ヵ月にわたって取材し、スタートアップ特有の自由奔放さと競争志向が独断的なリーダーシップと結びついた時に現れる副作用と分析した。著者は、「多くの創業者とベンチャー投資家らは、ウーバーの物語をシリコンバレーの最高と最悪を象徴する警告として受け止めている」と説明した。

ウーバーの成功と危機は、多分に「何をしてでも勝つ」というカラニック氏のキャラクターに起因した。カラニック氏は、職員たちを無限労働に追い込み、便法も多用した。シリコンバレーで度々「悪い奴」と呼ばれるカラニック氏は、自身の積極性をなぜ皆がプレッシャーを感じて嫌がっているのかを理解していない。著者は、「カラニックは競争を善と捉え、いつも勝利を傍に置こうとした」と指摘した。男性中心的な考え方を持つMBA出身を優遇したのも禍根だった。

2017年は次々と悪材料に見舞われた。女性職員による社内のわいせつ行為の暴露、グーグルとの知的財産権訴訟、カラニックの性的カラオケバー訪問スキャンダルが起きた。カラニックがトランプ大統領の経済諮問を引き受けると、トランプ氏の移民政策に反対するウーバーユーザーたちがソーシャルメディア(SNS)で「#ウーバーを削除しろ(#deleteUber)」ハッシュタグキャンペンを展開した。ウーバーは、50万の顧客を失った。

大株主たちの圧力でカラニックが2017年に会社を離れてからウーバーの危機は一段落した。だが、著者は「本日の創業者たちも世の中を変える企業を築くために原則を無視して近道を選んでいる」と批判する。こうした状況でカラニックが最高経営責任者の座を降りながら、「…私からトラビス2.0を創造しなければならない」「…仕事より人が大事であることを…人を優先に考えるべき…」と電子メールを職員たちに送った電子メールの内容は噛みしめる価値がある。


崔고야 best@donga.com