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宇宙の慣性で新型コロナを見ると

Posted September. 18, 2020 08:35,   

Updated September. 18, 2020 08:35

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学期が始まった。1学期と異なる点があるなら、この状況に慣れたということだけだ。学生たちも今では落ち着いて勉強に没頭しているようだ。周囲の教授たちも、インターネットの講義に慣れた。研究も以前と同じ活発な国際的な協力は難しいが、研究室で静かに行われている。このような大学の状況を見ると、慣性の力がついた感じがする。

慣性の法則は、物理学を学ぶ時に最初に習うニュートン物理学の最も基礎的な概念だ。この法則の最も重要なキーワードは「連続」だ。停止状態や運動状態で外部の力が作用しなければ、物体は引き続き停止しているか、その運動を続けようとする。タンカーが行く方向を90度変えるには、エンジンを止めて数キロメートル以上をさらに行かなければならない。これよりも重い空母が方向を変えるには、さらに長い時間と距離を必要とする。重い物体であればあるほど方向を簡単に変えることができないためだ。自分が行く方向を変えるには、さらなる強力な力が必要だ。では、コロナウイルスという力によって変わった日常の変化は、その方向を変えるためにいかなる力とどれだけの時間が必要だろうか。

宇宙を飛行する物体は方向を変えることは難しい。地球では空気中の粒子が飛行する物体にあたって抵抗を作るが、宇宙空間では飛行を妨げる抵抗力がないためだ。抵抗がなければ簡単に止まることはできない。宇宙で宇宙船を修理するために宇宙船の外に出てハンマーを振り下ろそうとしてうっかり手を離すと、ハンマーは回転して宇宙の果てのどこかにぶつかるまで飛んで行く。慣性の力はその環境の支配を受けるのだ。

私たちはニュートン力学の中心である太陽を中心に生きている。地球と太陽は奇跡的に最も適切な位置にある。今の位置より遠かったなら、地球は火星のように凍りついた砂漠になっただろう。逆に近かったなら、地球は金星のように酸性雨が降る熱い惑星になっただろう。遠くても近くても、いずれも生き残ろうとする生命体には苛酷なところだ。月も地球が今と同じ公転周期を維持するのに最も適切な大きさだ。今より小さかったなら、地球の自転を妨害して今のような安定した地球環境になることはできなかっただろう。このように地球に生命体が進化して生きていけるようになったのは、月と地球が適切な大きさと距離を維持したおかげだ。

地球の大きさと質量も最も適切な値だ。万一、地球が今の質量より小さかったなら、重力が小さくなって大気中に酸素をとらえておくことはできなかっただろう。もし質量が大きかったなら、原始時代に形成された有毒ガスが大気中に混ざって、生命体が生きていくことはできなかっただろう。この奇跡のような偶然の一致の中で、太陽と月、地球が自転と空転を繰り返している。

慣性の枠組みの中で地球をはじめ人間の生と環境が最も適切にセッティングされているということは奇跡に近いことであり、最も幸いなことの一つだ。では新たに登場した新型コロナウイルスという変数はどのように見ることができるだろうか。物理学で見れば、このような堅固な宇宙の慣性の枠組みの中で、新型コロナウイルスのような試練はもしかすると変化を作る小さな力の軸にも入らないかもしれない。私たちには大変なことだが。