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幼い兄弟の死

Posted September. 17, 2020 08:15,   

Updated September. 17, 2020 08:15

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深い夜、幼い二人の兄弟がベッドの上にぐっすり眠っている。兄も幼く見えるが、母親のように弟を胸に抱いている。横には、読んでいる途中で裏返った聖書と赤いロザリオが置かれている。眠りに落ちるまで聖書を読んで、お祈りをしたらしい。屈強な男性がそれを眺めていて、そのうちの一人は手に大きな枕を持っている。一体この子供たちは誰で、何が起きようとしているのか?

テオドール・ヒルデブラントは、文学と歴史のテーマの絵に優れたドイツの画家だ。彼の代表作であるこの絵は、シェイクスピアの戯曲「リチャード三世」の一シーンを描写している。眠っている子供たちは、英国王・エドワード4世の二人の息子だ。長男・エドワード5世の父親が急死して王位についたが、王冠すらかぶれず、弟のリチャードと一緒にロンドン塔に閉じ込められてしまう。兄弟を塔に閉じ込めて王位を奪った者は、他でもない彼らの叔父・リチャード3世だった。兄弟は塔に閉じ込められてからそれほど経たないうちに、叔父が送った暗殺者の手で殺されたと言われている。

ヒルデブラントは、子供たちが殺される直前の瞬間をキャンバスに収めた。芸術的想像力に加えて、シーンを実際より、さらに劇的に演出した。当時、兄弟はそれぞれ12歳と9歳だったが、はるかに幼く表現して同情をより大きく誘発する。聖書とロザリオは、二人の子供が死の恐怖と不安をふるい落とすために、毎晩をどのように耐えたかを象徴的に示している。実際、エドワード5世は幼い年齢にもかかわらず、信仰心と道徳性、学問的素養に優れていたと伝えられている。天使のような子供たちの姿に心が揺れたのだろうか。暗殺者は軽く躊躇する表情を浮かべるが、王の命令に逆らうことはできなかったはずだ。

幼い甥たちを犠牲にして王になったリチャード3世はどうなったのだろうか?最初は市民と貴族から支持を得たが、即位後に始まった反乱と味方の裏切りによって、戦場で悲惨な最期を迎えた。権力の座についてから2年後のことだった。天のような権威も、道徳的欠陥があれば、結局支持勢力を失って崩れてしまうことを示した王だった。