Go to contents

医学部入学定員拡大を押し付けて医師ストを招いた不通政府

医学部入学定員拡大を押し付けて医師ストを招いた不通政府

Posted August. 08, 2020 08:47,   

Updated August. 08, 2020 08:47

한국어

政府の医学部入学定員の拡大案に反発して、昨日一日、全国の専攻医1万6000人のうち、80%がストライキを行った。医療現場では患者の待ち時間が長くなり、一部の人たちは無駄足をするなど不便を強いられた。14日は、全国開業医を中心とした大韓医師協会のゼネストが予告されており、ただでさえ新型コロナ事態によって過負荷がかかっている医療現場に赤信号が灯った。医師の集団休診は、2000年の医薬分業事態以降20年ぶりのことだ。

先月23日、政府が出した2022年度から医学部の入学定員を増やして、10年間4000人の医師を追加養成するという案に、医療界は強く反発している。医療人材の過剰をもたらして、医師の質を落とすという主張だ。しかし、医師らが医学部入学定員の拡大にやたら反対するのは、説得力を持ちづらい。ソウルは昨年、人口1000人当たりの医師が3.12人で、OECD平均(3.5人)に迫っているが、慶尚北道(キョンアンブクド、1.38人)、忠清南道(チュンチョンナムド、1.5人)などの地域に行けば医療人材の格差が深刻だ。診療科目別にも、医師が足りない分野があふれている。外科などの必須分野の医学部入学定員の増員にむやみに反対すれば、国民の理解を得にくくなる。またコロナ保健危機の状況の中で、国民の健康を担保にした集団行動は、時期的にもなかなか名分が得られないし、「縄張り争い」に映る恐れが大きい。

ただ、医師の行動を集団利己主義と批判する前に、政府の働き方の問題点も指摘せざるを得ない。今回の医学部入学定員の拡大案も、意思決定の過程で当事者や専門家との十分な協議と準備過程なしに、一方通行式で発表された。医療界から出てきた「一度の公聴会すらやっておらず…」という不満が状況を代弁している。コロナ現場で献身してきた医師たちが、このような推進方式に裏切りを感じて当然だ。ストライキを行うと言われて、やっと「対話しよう」と自制を促す姿勢では相手を説得するのが難しい。

医療提供システムや健康保険体系などの課題は、医療界と政府が膝を交えて知恵を絞っても、なかなか解決できない難題だ。医療界の反発によって導入が遅れている非対面診療(遠隔診療)の問題も解決が急がれる。医師団体も政府も、国民の健康のために何が最善かを優先順位に立てて時間がかかっても合理的代案を見つけなければならない。