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表現の自由の侵害と経済協力恩恵…無理を強いる南北法案を強行してはならない

表現の自由の侵害と経済協力恩恵…無理を強いる南北法案を強行してはならない

Posted August. 04, 2020 08:13,   

Updated August. 04, 2020 08:13

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国会外交統一委員会は昨日、対北朝鮮ビラ散布を禁止する内容を盛り込んだ南北交流協力法の改正案など、南北関係法案18件を一括想定して議論した。そのほとんどが与党「共に民主党」が発議した法案で、野党の激しい反対にも拘わらず迅速処理を貫いた事案だ。民主党はいったん野党と議論して処理する方針だが、状況によっては強行処理するという意志も隠していない。

与党の南北関係法案には、違憲の余地が相当ある上、対北事業恩恵など、あらゆる議論を呼び起こす内容がたくさんある。与党が最優先課題としている対北ビラ散布禁止については、すでに国会専門委員と立法調査官が「事前検閲により、憲法上の表現の自由を侵害する危険性がある」という検討報告書を出した。政府の事前承認を受けなければならない「交易と搬出・搬入物品」に対北ビラと補助記憶媒体(USB)、気球、ドローンを含める一方、ビラ散布を事前申告対象である「南北住民接触」に入れるなど、常識外の理不尽なものだらけだ。

南北関係発展法の改正案には、突然の経済協力中止による投資資産の損失補償のレベルを超えて、企業の未実現の期待利益までを政府予算で補償する一方、特定国境地域に平和経済特区を設置して支援する内容もある。対北朝鮮投機ブームまで助長する事案だ。さらに大統領が交わす南北合意書は、大韓民国憲法による締結・批准手続きと明示しようという改正案もある。何れにせよ我々の法体系全般を揺るがしかねない無責任な発想に違いはない。

政府はすでに、北朝鮮の脅迫以降、ビラ散布団体への警察捜査と法人設立許可取り消し、さらに多くの対北人権団体への事務検査を行うなど、相次いで無理なことをやっている。国連北朝鮮人権特別報告官までが出て韓国政府のすべてのアクションを中止するよう勧告した。このような状況で、野党が「金与正(キム・ヨジョン)下命法」と反発するほど議論の対象となっている法案までを、速戦即決で強行するなら、国家のメンツまで大きく傷つくほかない。

対北ビラ散布は、北朝鮮の挑発を招いて境界地域の住民の安全に危険をもたらしかねないことは事実だ。しかし、この問題は、無理な法改正ではなく、政府が対北朝鮮団体を説得し、止むを得ない場合は、既存の法で規制すれば済むことだ。賃貸借3法とは異なり、政策効果のために時間的な急を要する問題でもない。それでも政府与党があれほどこだわるのは一体何だろうか。脱北者出身の野党議員が、「北朝鮮でも、このように高速道路を走るようなやり方はしない」と嘆くほど、速戦即決の力で押し付けなければならないことなのか。