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私が会った白善燁将軍

Posted July. 14, 2020 08:35,   

Updated July. 14, 2020 08:35

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私は10年ほど前、ある行事で白善燁(ペク・ソンヨプ)将軍に初めて会った。行事が終わると、人々が白氏に即席の講演を要請した。私は少し気まずかった。高齢の有名人が即席で講演をして、あまりよろしくない方向に流れることを頻繁に経験したためだろう。

白氏は慎重な性格なので、序盤はゆっくりとした語り口で講演を始め、私は「予想通りだな」と思った。しかし、その後の30分ほどの時間は衝撃的だった。韓国戦争で私たちが得なければならない教訓、理念的や精神教育的な教訓でもなく、軍という極めて専門的な領域の教訓のようだが、普遍的な適用が可能な教訓が、適切かつ感動的に流れた。白氏は状況分析が素早く、これを土台に適切で合理的な判断を下す能力が卓越した指揮官という印象を受けた。後に白氏の回顧録を読んだが、あの時の予想は間違っていなかった。

中国共産軍の介入で、韓国戦争が2つ目の危機を迎えた時、マシュー・リッジウェイ将軍が第8軍司令官として赴任した。第2次世界大戦時、第82空輸司令官を務めたリッジウェイ将軍は、容赦ない典型的な硬骨の将軍だった。物腰が穏やかだったウォルトン・ウォーカー初代第8軍指揮官とは違ってリッジウェイは韓国軍にもストレートに叱責をしたようだ。白氏は叱責をそのまま受け入れることができなかったという。米軍に比べて兵器と補給が思わしくない韓国軍の状況を考えると、韓国軍はよく戦い、彼らの奮闘は認められなければならない。しかしその後に次のように発言する。「押し寄せる敵に背を向けて後退したことは冷静に考えなければならない」

韓国軍が10の条件で100の能力を発揮したのならば称賛を受けて当然だ。しかし相手が150の能力を持っていたとすれば、私たちに向けられた非難が不当だと悔しがるのではなく、能力を200にする方法を探さなければならない。簡単な真理のようだが、このように行動することは容易ではない。白氏はその方法を探し、韓国軍を変化させ、米軍を感心させた。謹んで白将軍の冥福を祈る。