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国際人権団体、「無害、とんでもない」と脱北者ビラ禁止法を批判

国際人権団体、「無害、とんでもない」と脱北者ビラ禁止法を批判

Posted June. 06, 2020 08:46,   

Updated June. 06, 2020 08:46

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北朝鮮の金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長の警告談話の直後、韓国政府が北朝鮮に対するビラ散布を禁止する法を制定すると明らかにしたことを受け、海外の北朝鮮人権活動家が激しく批判した。北朝鮮の人権改善の活動を制限するだけでなく、表現の自由を侵害する結果を生むという指摘だ。

米ワシントンで活動する市民団体「北朝鮮人権委員会」(HRNK)のグレッグ・スカラテュー事務局長は4日(現地時間)、東亜(トンア)日報の電話取材に対して、「今回は(禁止の対象が)北朝鮮に向けたビラだが、次は放送にならないと誰が言えるだろうか」とし、「今後、北朝鮮が問題視するたびに新聞、放送、インターネットなどに統制の対象が拡大するだろう」と懸念を示した。そして、「私たちが望む統一は、自由主義と民主主義を土台にし、人権が保障される方式でなければならない」とし、「北朝鮮の人権に対する声を封じては、南北関係の進展は意味がない」と強調した。2018年の板門店(パンムンジョム)合意に北朝鮮に向けたビラ散布を中止するという内容が含まれていることについては、「そのような内容が含まれていることから誤りだ」と主張した。また、「人権団体が北朝鮮に向けてビラを飛ばすことをはじめ、北朝鮮の人権について声を出すことは止まらないだろう」と見通した。

また、米国の民間人権団体「北朝鮮自由連合」のスザンヌ・ショルティ代表は東亜日報に送った論評で、「文在寅(ムン・ジェイン)大統領ほど韓国と北朝鮮の人々の人権の保護に責任を負わなければならない人はいない」とし、「しかし、彼は近代史で最も残酷な独裁政権にベッティングするためにむしろ抑圧しているようだ」と批判した。また、「北朝鮮に向けたビラ散布を禁止しようとすることは、韓国内の表現の自由を抑圧するさらなる危険な試みであり、脱北者が北朝鮮に残した人々と意思疎通できる自由を侵害することだ」と指摘した。さらに、「北朝鮮へのビラ散布は、脱北者が同胞に対する支持と希望を送る検証された方法」とし、「これこそが脱北者が北朝鮮の核兵器に対抗して使える武器だ」と強調した。ショルティ氏は、韓国で活動する自由北朝鮮放送などの北朝鮮人権団体と共に、毎年4月の最後の週「北朝鮮自由週間」に北朝鮮に向けてビラを飛ばす行事に参加してきた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)アジア局長代理のフィル・ロバートソン氏も、金与正氏の談話の直後、統一部がビラ禁止法制定の方針を明らかにしたことについて、「とんでもない」と指摘した。ロバートソン氏は、自由アジア放送(RFA)に、「韓国は、北朝鮮の人権問題を提起して議論する準備ができていなければならない」とし、「北朝鮮が韓国政府を尊重していない状況で、韓国政府は戦略の変更を深刻に考えなければならない」と述べた。北朝鮮へのビラ散布活動については「無害」と評価した。

抜本的な問題解決に向けて南北対話が再開されなければならないという提言も出てきた。アントニオ・グテーレス国連事務総長は、RFAに論評を要請され、報道官室を通じて、「南北の対話の通路が再び開かれることを何度も支持してきた。南北対話の再開を望んでいる」と明らかにした。


ワシントン=イ・ジョンウン特派員 lightee@donga.com