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基本所得の生半可な公論化の前に基礎研究から始めよ

基本所得の生半可な公論化の前に基礎研究から始めよ

Posted June. 06, 2020 08:46,   

Updated June. 06, 2020 08:46

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第21代国会の開院と共に、「基本所得」が与野党の熱い争点に浮上した。野党「未来統合党」の金鍾仁(キム・ジョンイン)非常対策委員長が、脱保守を掲げて基本所得導入案を取り出すと、進歩アジェンダの主導権を手放さないとする与党は、すぐにでも関連法案を出す構えだ。2022年の大統領選のアジェンダになる可能性が高まると、潜在的な大統領選候補たちも先を争って議論に飛び込んでいる。

3日、「空腹の時にパンを買って食べる自由」を強調して議論に火をつけた金氏は、4日にも、「基本所得の問題を深く検討する時ではないかと考える」と述べた。与党「共に民主党」の李元旭(イ・ウォンウク)議員は、「増税なき基本所得は不可能だ」とし、税金の引き上げまで主張した。野党「国民の党」安哲秀(アン・チョルス)代表は、低所得層中心の「韓国型基本所得」を検討しようと論争に加わった。実際に導入される場合、韓国の福祉システムの根幹を揺るがす議論だが、各自が自分の意見を述べ、見ている国民は混乱する。

元来、基本所得の概念は「無条件に全国民に毎月一定額の現金を一律に給付する」ことをいう。行政コストが削減され、脆弱階層は生計の脅威から脱し、さらに積極的に求職に乗り出すというのが賛成論者の主張だ。しかし、数年前、フィンランド政府の実験の結果、労働意欲を起こす効果はほとんどなく、ストレスだけ少し減ったことが分かった。効果は検証されなかったのだ。

金氏自ら「赤字財政の状況で基本所得ができると考えることは幻想に近い」と言うように、問題は財源だ。国民1人当たり毎月30万ウォンを支給するには、今年の本予算(512兆ウォン)の36.5%である187兆ウォンが必要だ。3次追加更正予算まで今年の総福祉関連予算が194兆ウォンであることを考えると、基礎年金など従来のすべての福祉恩恵をなくして基本所得だけ支給するとしても、調達できない規模だ。

にもかかわらず、すでに火がついた基本所得議論は簡単に収まりそうにない。新型コロナウイルス事態で現れた社会的セーフティーネットの弱点を補完するために、福祉システムの全面再整備と基本所得の研究が必要という主張が少なくないのが事実だ。米シリコンバレーでも、人工知能(AI)、ロボットに雇用を奪われた低所得層のために基本所得を導入しなければならないという声が大きくなっている。

基本所得導入の主張が、大統領選を狙ったばらまきでなければ、与野党は生半可なアイディアで国論を分裂させるのではなく、政府、民間の専門家たちと膝を突き合わせて真剣に基礎研究から始めるのが望ましい。