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金与正氏が脱北者ビラに反発、大統領府は「ビラは百害あって一利なし」と即反応

金与正氏が脱北者ビラに反発、大統領府は「ビラは百害あって一利なし」と即反応

Posted June. 05, 2020 09:46,   

Updated June. 05, 2020 09:46

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北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の妹の金与正(キム・ヨジョン)党第1副部長が4日、脱北者団体が北朝鮮指導部を批判するビラを北朝鮮に向けて飛ばしたことについて、「雑種犬がうろついて悪事ばかり働いているのだから、もはや飼い主に責任を問わなければならない」とし、南北軍事合意の破棄を警告した。これに対して大統領府は、北朝鮮に向けてビラを飛ばすことは「百害あって一利なし」とし、統一部、国防部が相次いで中止を求め、論議が起きている。

金与正氏は4日、談話で、「脱北者という人たちが出て来て、数十万枚の反共和国ビラを我が域に飛ばすという蛮行を犯したことに関する報道を見た」とし、このように非難した。そして、「悪事を働く人よりも、それを見て見ぬふりをしたり、そそのかす人がもっと憎い」とし、「南朝鮮当局が応分の措置を取ることができなければ、金剛山(クムガンサン)観光の廃止に続き、開城(ケソン)工業地区の完全撤去になるか、南北共同連絡事務所の閉鎖になるか、南北軍事合意の破棄になるか、しっかりと覚悟しておかなければならないだろう」と警告した。

北朝鮮の事実上のナンバー2である金与正氏の露骨な非難談話が出て約4時間後に、統一部は予定になかった記者会見を開き、「境界地域の緊張造成行為を抜本的に改善する実効性ある緊張解消案を考えている」とし、「法整備を準備している」と明らかにした。ビラ散布禁止法を作るということだ。国防部も、「北朝鮮に向けてビラを飛ばすことは、境界地域の国民の生命と財産に対して危険を招く行為であり、止めなければならない」という立場を示した。

大統領府関係者は同日午後2時半頃、記者団に会って、「北朝鮮へのビラは百害あって一利なし」と非難し、「安全に脅威をもたらす行為に対しては、政府は今後、断固対応していく」と強調した。

しかし、南北軍事合意違反である先月の北朝鮮による非武装地帯監視所(GP)の銃撃に対しては「偶発的な発砲」とした政府が、金与正氏の談話文を受けて脱北団体のビラ散布を一斉に非難したことは、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の独自の南北協力推進を意識した過度な低姿勢という批判が出ている。野党「未来統合党」は、「北朝鮮の居直りの態度はとうてい容認できない」とし、「政府はなぜ北朝鮮に何も言えないのか」と批判した。

統一部が作るという北朝鮮へのビラ散布禁止法が違憲という指摘も出ている。韓東(ハンドン)大学の朴元坤(パク・ウォンゴン)教授は、「民間団体の対北朝鮮ビラ活動を軍事合意違反と規定する場合、憲法上の表現の自由に反する可能性がある」と指摘した。


韓相準 alwaysj@donga.com