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偏見の壁

Posted June. 04, 2020 08:28,   

Updated June. 04, 2020 08:28

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韓国の刺し縫いやパッチワークに該当するキルトは、女性の伝統手工芸文化だ。フェイス・リングゴールドは絵画、彫刻、パフォーマンスなど、さまざまな媒体を扱う作家だが、キルトと絵画を結合した作品で最も有名である。刺縫い布団を連想させる彼女のキルト作品は、童話のようなイメージと物語を含んでいて、「ストーリーキルト」と呼ばれる。

「タールビーチ」は、8歳の黒人少女、キャシーが住んでいるニューヨーク・ハーレムの家庭の風景を描いたストーリーキルトだ。1939年のある暑い夏の夜、キャシー家族はタールで舗装された屋上をビーチにして、隣人と一緒にささやかパーティーを開いている。大人が楽しい時間を過ごす間、弟と一緒に眠りに入ったキャシーは、ニューヨークの夜空をふわりふわりと飛び回る夢を見ている。テーブルの上に並べられた豊富な食べ物、きれいに洗濯された洗濯物、植木鉢で飾られた屋上、和気あいあいとした家族の姿は貧しく、汚くて危険な町として知られているハーレムについての偏見を覆す。金持ちではないが、楽しくて団欒に生きていくキャシー家族の姿は、実は作家の子供時代の思い出から出てきた。リングゴールドは、貧しいハーレム出身だが、家族の愛の中で不足なく育ったし、当時の黒人女性としては珍しく、美術大学に進学した。しかし、白人男性中心の美術界で差別を受けながら、人種問題、女性問題に目覚める。リングゴールドが西欧の伝統絵画を捨ててキルトを選んだことも、黒人というアイデンティティについての自覚のためだった。彼女の先代の祖母は白人農場主のためにキルトを作る黒人奴隷だったし、母親はハーレムで黒人のための服を作るデザイナーだった。作家は産業化を経ながら、安い手工芸品に転落したキルトを高級美術の領域に引き上げると同時に、根深い人種差別の歴史と性差別問題も一緒に盛り込もうとした。

振り返ってみれば、絵の中の高層ビルは偏見の壁を象徴するもののようだ。それなら、作家は若いキャシーを通じて、差別と偏見の壁をはるかに超えて高く飛びたいと思うこの地のすべての弱者の夢と希望の物語を聞かせてやろうとしたのではないだろうか。

美術評論家