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華やかな舞台の裏で「縁」を描く 二人の歌手キム・ワンソンと金昌勲が個展

華やかな舞台の裏で「縁」を描く 二人の歌手キム・ワンソンと金昌勲が個展

Posted November. 03, 2025 09:04,   

Updated November. 03, 2025 09:04


「生きてみると、家族であれ友人であれ同僚であれ、自分の意思でどうにかなるものではありませんでした。それでも人は縁の網の中で生きるほかなく、その中で自分にできる最善を尽くせばいいのだと思います」

縮れ髪の女性、網目模様のジャケットを着た人物、格子模様の壁紙の前に横たわる人物……。ソウル鍾路区(チョンノグ)のギャラリーマリで、絵の随所に曲がりくねった線が見える連作「縁、網」を展示している歌手のキム・ワンソン氏(56)は、最近の展覧会場でこう語った。

展示会場の一方にはキム・ワンソン氏の絵、もう一方にはバンド「サヌルリム」の金昌勲(キム・チャンフン、69)氏が描いた抽象画が並ぶ。この展覧会は、舞台上で注目を浴びてきた二人のミュージシャンが率直な内面を表現した作品を集めた「アート・ビヨンド・フェイム(Art Beyond Fame)」である。先月15日に開幕し、キム・ワンソン氏の作品約10点と、金昌勲氏の作品約100点を展示している。

二人がともに展覧会を開くきっかけとなったのは、40年前に音楽で結ばれた縁だった。金昌勲は、キム・ワンソン氏の1枚目のレギュラーアルバム「今夜」と2枚目のアルバム「一人で庭の前で」の全曲の作詞・作曲を担当した。キム・ワンソン氏は、「展覧会の提案を受けて最初に思ったのは、『これはどんな縁だろう』ということでした」と語った。

キム・ワンソン氏の絵には、ピエロに扮した女性、異なる方向を向く男女、ベッドに横たわる女性など、人が主に登場する。出会いや別れの瞬間や自画像のような作品も多い。一方、金昌勲の絵は抽象画が中心で、この1年間で100点を超える絵を描き、音楽を聴きながら感じるイメージやリズムを線と色面で表現しようと試みた。

「Tulip in White」のような花の静物や「Apartment in Red」などの都市風景、「Adagio in White」をはじめ音楽に触発された作品もある。自画像もあるが、他の作品が線と面で明瞭に分かれているのに対し、比較的荒く仕上げられた迷路のような形態も見られる。

金昌勲氏は「人生というのは、思いがけない偶然の出会いが重なって出来上がったものだと思う。継ぎはぎのようにパズルのように組み合わされた人生の中に、複雑に絡み合う荒い傷と柔らかい良い記憶のようなものを込めました」と語り、「自分の足跡を振り返りながら絵を描くことで、心の癒やしを得ています」と話した。

音楽を本業とする二人の作品は、メディアを通して見聞きしてきた芸能界スターたちの言葉では伝えきれなかった内面の物語を間接的に伝える。展覧会の副題も「名声の裏に隠された人間的感情と表現」だ。開催は13日まで。


金民 kimmin@donga.com