
「ロシア本土侵攻の代償はあまりにも大きかった」
ウクライナのゼレンスキー大統領の最大の政敵とされるウクライナ軍前総司令官のザルジニー駐英大使(52・写真)が、昨年8月初めにゼレンスキー氏の主導で行われたロシア本土クルスク州侵攻作戦を強く批判した。国力と軍事力で劣るウクライナが、本土防衛に使うべき資源を分散させたため、防衛が一層困難になったという理由からだ。
ザルジニー氏は24日、現地メディア「ドセルカロ・ティニア」への寄稿で、「私にはこの作戦の代償を知ることはできないが、代償が非常に大きかったのは明らかだ」と懐疑的な見解を示した。この作戦でウクライナ軍の人的損失も相当だったとし、「失敗した作戦だった。このような作戦は、人的損失が正当化され、かつ目標が限定されている場合にのみ行うべきだ」と批判した。
現在のウクライナ戦争の戦況については、第1次世界大戦を思わせる膠着状態に陥っており、ロシアとの消耗戦が続くと予測した。ザルジニー氏は今年7月のインタビューでも、「今回の戦争は2034年まで続く可能性がある」と悲観的な見通しを示した。
ウクライナ軍は昨年8月、ロシア南部クルスク州に奇襲侵攻し、一時はソウル市の2倍を超える約1300平方キロメートルを占領した。これは第2次世界大戦以降、ロシア本土が外国軍に侵攻された初の事例だ。ただしその後のロシア軍の反撃で、占領地の大部分を失った。ロシアは今年4月にクルスク州の完全奪還を宣言し、ウクライナ側は「一部をまだ占領している」と主張している。
オデッサ士官学校を卒業したザルジニー氏は、ウクライナ戦争勃発の5カ月前、2021年7月に総司令官に任命された。戦争初期にはロシア軍の攻勢を成功裏に防いだとして高い評価を得た。しかし戦争の長期化とともに戦術・戦略をめぐるゼレンスキー氏との対立が深まり、昨年2月に解任された。
キム・ユンジン記者 kyj@donga.com






