尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の違法非常戒厳事件の捜査をめぐり、検察と警察、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が競争を繰り広げ、様々な問題が発生している。
東亜(トンア)日報の取材を総合すると、公捜処の非常戒厳捜査TF(チーム長=李大煥捜査第3部長)は11日、京畿道利川市(キョンギド・イチョンシ)の陸軍特殊戦司令部に捜査官を送り、監視カメラの映像を確保しようとした。公捜処は、家宅捜索令状は発給されなかったが、特殊戦司令部と調整を終えた状態だったという。しかし、同日、検察の非常戒厳特別捜査本部(本部長=朴世鉉ソウル高検検事長)が特殊戦司令部を家宅捜索し、この過程で公捜処と検察の軋轢が生じたという。
警察庁国家捜査本部特別捜査団(禹鍾寿団長)も、特殊戦司令部に対する家宅捜索令状を検察に申請したが、却下された。しかし、検察が特殊戦司令部に対する家宅捜索に直接乗り出すと、警察内部から「検察が裏をかいた」「故意に拒否した」という批判が出た。検察は「管轄の問題や重複捜査が懸念されるものは棄却した」という立場だ。
公捜処も、検察と警察に移牒要請権を行使した直後、防諜司令部の家宅捜索令状を請求したが、棄却されたという。裁判所は、「検察と合同捜査を行う軍検察が先に令状を請求した」とし、公捜処の令状を棄却したという。
警察が公捜処、国防部調査本部とともに共助捜査本部を発足させたが、検察が抜けたため、このような混乱は続くとみられる。法曹界では、共助捜査本部と検察も協議体を発足させ、重複捜査などを防いでこそ、尹大統領など核心被疑者に対する公訴維持に問題がないだろうと指摘する。検察出身の弁護士は、「大統領の起訴は検察だけが可能だ」とし、「共助捜査本部と検察の協力が必ずなされなければ、重複捜査などの議論を防ぐことができない」と指摘した。
ク・ミンギ記者 koo@donga.com