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「第2のミナリが出るためには、アジアのスタッフが多く増えなければ」

「第2のミナリが出るためには、アジアのスタッフが多く増えなければ」

Posted May. 06, 2021 08:13,   

Updated May. 06, 2021 08:13

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映画「ミナリ」の女優尹汝貞(ユン・ヨジョン)が、第93回米アカデミー賞で助演女優賞を受賞する快挙を成し遂げた。しかし、依然として多くのアジア系作品は米国では認められていない。なぜだろうか。

映画の中の人種などの不平等問題を研究する米南カリフォルニア大学(USC)アネンバーグ包容政策研究所の設立者で同大学アネンバーグ言論大学コミュニケーション学科教授のステイシー・L・スミスは、東亜(トンア)日報との書面インタビューで、「映画の多様性を論じる際、米国内アジア人の割合より米映画でアジア人俳優の割合が低いという『過小代表性』問題以外も、キャラクターに対する固定観念なども見なければならない面が多い」と指摘した。

映画の俳優や制作陣を構成する際に有色人種を一定比率含める「包容特約」の概念を、2016年に初めて提示したスミス教授は今年1月、ネットフリックス作品の多様性を分析した報告書を発表した。これまでハリウッドで多様性を確保するために、アジア系俳優の割合を増やそうという声が出てきたが、今はこれを越えた努力が必要だという。スミス教授は、「固定観念を持ち、アジアのキャラクターを誤って描写した部分を集中的に調べている」と語った。

ミナリで尹汝貞が演じたおばあさんの「スンジャ」は、子どものために犠牲ばかりする典型的なアジア女性と表現されなかったという点が成功の要素だった。お金しか持たない金持ち(「クレイジー・リッチ!」)やガリ勉(「シリアスマン」)のように、オリエンタリズムがにじみ出た映画とは違う。チョン・チャンイル映画評論家は、「ミナリの競争作である映画『ヒルビリー・エレジー 郷愁の哀歌』のおばあさんは、子どもを大事にする女性を平面的に描いたキャラクターだ。これに比べ、スンジャは、米国人が想像するアジア人女性の姿とは違って、目立ったキャラクターで人々をとりこにしたという点に意味がある」と話した。

今年、ゴールデングローブは、ミナリを作品賞ではなく外国語映画賞にノミネートし、人種差別議論に包まれた。2019年、中国系米国人のルル・ワン監督が、中国系移民家族の物語を描いた映画「フェアウェル」も、ゴールデングローブ外国語映画賞にノミネートされ、批判を受けた。

アカデミーの歩みは違っていた。作品賞など3部門を受賞した映画「ノマド:漂流する高齢労働者たち」のクロエ・ジャオ監督は、中国国籍の女性だ。ミナリも作品賞、監督賞など6部門にノミネートされ、米社会にアジア文化が受け入れられていることを示した。スミス教授は、「映画は私たちが生きている世の中を反映し、間違った点を振り返らせる」とし、「映画に様々な人種の声を含ませれば、観客は多様な話に出会うことができ、ひいてはもっと改善された世の中の姿も見られるだろう」と語った。

どうすれば「第2のミナリ」が出るのだろうか。スミス教授は、「カメラ越しのアジア人監督や作家、プロデューサーが十分ではない」とし、「創造的な役割を担っているアジア人を、映画産業でもっと増やさなければならない」と述べた。黒人や南米出身の制作者たちがハリウッド作品を作りながら偏見を克服していったように、映画制作陣の構成から変えなければならないという。チョン・ジウク映画評論家は、「ミナリのリー・アイザック・チョン監督が、次回作に日本のアニメーション映画『君の名は。』を選んだのは、アジア系のアイデンティティが込められた歩みだ」とし、「米制作システム内で活動するアジア系映画人が増えなければならない」と指摘した。


イ・ホジェ記者 hoho@donga.com